世界的に、学校に通える子どもの数は増えたとされています。しかし、開発途上国と言われる国々では、いまなお、5人に1人の子どもが学校に通えないままです*¹。
教育を受けることができないまま大人になると、読み書きができず、安定した仕事につくことができません。また、知識や情報不足で社会から取り残されてしまうなど、生活に大きな影響が及びます。
今回は、教育問題が起こる原因と、私たちにできる解決策をご紹介します。
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*¹後発開発途上国における非就学児(2011-2016)は男児17%、女児22%。(ユニセフ 『世界子供白書2017』、表5 教育指標より)
世界には、教育を受けられない子どもたちが6,100万人いると言われており、その半数以上がアフリカのサハラ砂漠より南の地域で暮らしています(※1)。また、就学・通学する子どもの数だけでみれば、 10 年前に比べて推定で約1億6,000 万人増えたとされていますが、課題が多く残っています。ここでは、データをもとに、より詳細な現状をお伝えします。
南スーダン、ウガンダ、バングラデシュを含む後発開発途上国の純就学率は80%で、5人に1人の子どもは学校に行けていません。一方で、純出席率は75%で4人に1人で学校に通えていません。国別に見ると、平均値には表れない偏りを知ることができます。
南スーダンでは、初等教育の純就学率が全体で31%、女の子に限っては、27%しかありません。また、就学はしていても、そのうち実際に学校に通えているのは、たったの2割の子どもだけです(※2)。
ウガンダでは、初等教育への就学率は男女ともに9割を超えていますが、最終学年まで残る子どもの割合は、2割にまで減っています。(※2)
学校に通う大きな目的の1つとして、「読み書きができるようになること」があります。
読み書きは、社会的な生活を送る上で、欠かせないものだからです。
世界平均では、成人(15歳以上)の識字率は78%で、小学校学齢期の子ども約2億人が基礎的な読み書きを習得していません。
後発開発途上国だけの平均値は63%で、南スーダンでは、若者(15-24歳)の識字率は、男性44% 女性30%しかありません。(※2)
識字率が最も低い国は、ニジェールで、男性35%、女性15%に過ぎません。女性教育の格差も顕著に見られるデータとなっています。(※2)
日本では、義務教育があるため初等教育純就学率は100%です。教育が受けられない国では、人々の生活に様々な影響があります。
読み書きができないと、文章や本を読むことができず、生活に必要な情報や知識を得ることができません。注意書や警告文があっても、読むことができないので、危険にさらされることがあります。
また、計算ができないことで、金銭的な管理ができなかったり、騙されてしまうこともあります。
教育を受けられていないことで、安定した仕事につくために必要な技術の習得や、人とのコミュニケーション能力を身につけることができません。また、「説明書や資料が読めない」「報告書を提出できない」となれば、企業も単純労働以外の仕事は任せられず、不安定な仕事での雇用ばかりが増えてしまいます。
読み書きができなければ、選挙投票もできませんし、公的なサービスを受けるための書類をそろえることもできません。国がサービスを提供しても、それを享受することができなければ、人々の生活は豊かになりません。
ここまで見てきたように、教育は人々の生活に大きな影響を与えます。
では、なぜ今なお大勢の子どもたちが教育を受けられない、能力を正しく身に着けられないのでしょうか。その原因は大きく3つあります。
まず、そもそも教育を受ける環境が整っていない、という原因があります。
具体的には、次のようなことが挙げられます。
特に、先生の質は重要ですが、僻地では先生の数が足りていないため、十分な能力がない大人が、先生になっていることがあります。
学校に通い始めても、家計を助けるために働かなくてはいけないという理由で、最終学年まで通えていない子どもも大勢います。また、親の教育への理解・関心が低く、学校に行かせてくれないという場合もあります。
戦争や紛争で、学校に通えなくなってしまうケースが、近年問題視されています。
例えば、南スーダンでは内戦で難民となってしまったことで、十分な教育を受けられていない子どもたちが大勢います。また子どもを兵士として駆り出す「子ども兵士」問題も大きく影響してます。
ワールド・ビジョンでは、教育問題に対し、短期的な支援ではなく、質を重視した取り組みを行っています。開発途上国の子どもたち、難民の子どもたちが国を再建するときに、自分の人生を歩んでいくために、未来を託せるのは教育であると考えているからです。
教育の質を高めるためには、先生の質が大切です。ワールド・ビジョンは、質の高い先生を集める仕組みづくりを支援しています。その一例として、タンザニアのンゲレンゲレ地域で、教員住宅の建設支援をした事例をご紹介します。
ンゲレンゲレは遠隔地であり、赴任を避ける教師が多いという問題がありました。そこで、教員住宅を充実させたところ、赴任希望者が増え始めました。
先生の質が向上したことで、95年には5%だった7年生(日本では中学1年生)の就学率が、2013年には90%まで改善し、大学進学をする生徒も出始めています。
男女の教育格差は、開発途上国で特に見られます。女性への教育は、出産時の妊産婦死亡率や乳児死亡率、HIV感染率に影響があるため、国の発展には重要なカギとなります(※2)。
ワールド・ビジョンでは、女性の早婚のリスクや、教育の重要性について啓発活動を続けています。また、中学校が遠くにあるために通うのをあきらめざるを得ない女の子も多いので、中学校のそばに女子寮を建設して中学進学をあきらめずに済むよう対策しています。
ワールド・ビジョンでは、長期支援の一環として、チャイルド・スポンサーシップによる支援活動を実施しています。
チャイルド・スポンサーシップは、子どもの健やかな成長のために必要な環境を整えていけるよう活動するプログラムです。支援を受けた子どもたちが、いずれ地域の担い手となり、支援の成果を維持・発展させていかれることを目指しています。
具体的には、以下のようなことを支援します。
子どもたちが水を遠くまで汲みにいく必要をなくすことで、学校に通いやすくなります。
男女別棟にし、女の子でも安心して利用できるようになり、学校に通いやすくなります。
チャイルド・スポンサーシップにお申し込みいただくと、一日あたり150円がこうした支援活動に生かされます。
※このコンテンツは、参考資料に掲載されている2011-2016年の数値をもとに作成しています。
そんな私たちの活動を支えるのは、
「チャイルド・スポンサーシップ」というプログラムです。
チャイルド・スポンサーシップは、
月々4,500円、1日あたり150円の皆さまからの継続支援です。
貧困、紛争、災害。世界の問題に苦しむ子どもとともに歩み、
子どもたちの未来を取り戻す活動に、
あなたも参加しませんか。
今あなたにできること、
一日あたり150円で子どもたちに希望を。
※2 表5 教育指標 ユニセフ - 世界子供白書2017
※このコンテンツは、2019年8月の情報をもとに作成しています。