【熊本地震 第7報】 発生から2カ月、引き継がれる支援と子どもの笑顔

(2016.06.14)

給食で、子どもたちに笑顔と栄養を

「久し振りにみんなで給食を食べられて嬉しい。
今、みんなと食べる時間が貴重だと思いました」

5月16日に再開した簡易給食を食べ終わった女の子(小6)が、頬を赤らめながら話してくれました。

地震により大きな被害を受けた、熊本県益城町。給食センターが被災しパンと牛乳のみの簡易給食となる見通しだったところ、ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)は、国際NGOセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンとともに子どもたちに少しでも栄養価の高い食事を届け、給食を楽しみにしてもらえるよう、チーズやゼリー等の補助食品3品を加える支援を実施しました。

6月からは、より栄養価の高い「弁当給食」に移行。引き続き、益城町の全公立小中学校に通う児童生徒約3,100人に対する支援を継続しています。


6月1日からは、「弁当給食」がスタート。子どもたちも大喜びです
6月1日からは、「弁当給食」がスタート。子どもたちも大喜びです

ニッチなニーズに応える支援

「とても嬉しいです!長く使えるよう、大切に使わせていただきます」

6月3日、熊本市立豊田小学校の音楽室には、子どもたちの明るい声が響きました。学校にあった楽器は、グランドピアノを除いてすべて地震で破損したため、WVJは、特に要望の高かったオルガンを支援しました。

納品されたオルガンを前に、紫垣(しがき)教頭先生は、
「まだ、子どもたちの本来の元気が出ないところに、皆さまからの支援でオルガンが届いたので励まされました。8月にはこのオルガンを使って演奏会を計画中で、音楽を通じて子どもたちを元気にしたいと思っています」と、熱っぽく語ってくださいました。

WVJは、熊本市や益城町を中心に、学校が抱えるニーズを独自に調査。それが、音楽活動が盛んな熊本市での公立小中学校への楽器支援につながりました。

エレクトーンを前に笑顔がこぼれる器楽部の子どもたち
オルガンを前に笑顔がこぼれる器楽部の子どもたち

このほかにも、被災者の防寒用として裁断された小学校体育館の遮光カーテン、校舎が利用できなくなった中学校が体育館で授業を行う際のパーティション、余震に備えるための保育所への防災備品等、ニッチなニーズを探り、学校や保育所の再開を後押ししました。

物資支援や子どもの見守り支援と平行して実施した学校再開支援では、6,900人以上に支援を届けています。

熊本市立東野中学校に届けたパーティション。6クラスの授業が可能になりました
熊本市立東野中学校に届けたパーティション。6つのクラスの授業が可能になりました

支援を、知見を、地元に引き継ぎます

熊本地震発生から2カ月。WVJは、避難生活を送る方々のニーズに沿うこと、行政では手が回らないニーズに対応すること、子どもたちの心に寄り添うことを目指して、支援活動を進めました。

益城町総合体育館の避難所で、熊本YMCAとともに4月21日から運営してきた、子どもが安心して遊べる「プレイルーム」「プレイパーク」では、5月31日までの利用者はのべ2,330人となりました。6月1日からは、震災前から子どもと保護者の交流広場を運営されていた地元の団体に運営を委ね、活動が継承されています。

また、災害等により心理的ストレスを抱えた子どもへの対応の仕方(心理的応急処置:Psychological First Aid:PFA)について、WVJの専門スタッフが講師となり、研修を実施。世界の紛争・災害地域で活動した経験と東日本大震災・熊本地震での経験をベースに、その知見を地元の方々に伝えました。

PFA研修で講師を務めるWVJの山野スタッフ
PFA研修で講師を務めるWVJの山野スタッフ

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