【シリア危機】子どもたちに未来を拓く力を ~教育支援が始まります

2014.05.20

シリアの子どもたちと取り巻く厳しい状況

パイロット事業で実施した補習授業の様子。今回は、これを拡大して実施する予定
パイロット事業で実施した補習授業の様子。今回は、これを拡大して実施する予定

2014年4月1日より、ジャパン・プラット・フォーム(JPF)からの助成金と皆さまにご協力いただいた募金により、ヨルダン北部におけるシリア難民・ヨルダン人の子どもたちへの教育支援事業を実施しています。事業実施にあたっては、緊急人道支援課 國吉美紗スタッフをプロジェクト・コーディネータとして派遣し、事業管理を行います。

ヨルダンには、シリアにおける紛争が長期化し、総人口の約10%にあたる57万人を超える難民が暮らしています。ヨルダン政府は難民が教育を受けられるよう、難民を積極的に学校に受け入れており、約10万6千人の子どもが学校に通っています(2014年1月時点)。しかし、学校に通う生徒数が急増したことで、ほとんどの学校が授業時間を短縮し午前・午後の二部制を導入せざるを得なかったり、教師や教材が不足するなど、教育の質の低下が懸念されています。

補習授業で勉強する男の子
補習授業で勉強する男の子

また、紛争の影響で、長らく教育を受けられない子どもや、突然泣き出してしまうなど情緒不安定になっている子どもが多くいること、シリアとヨルダンとの教育カリキュラムに違いがあることなどから、学校の授業に思うようについていけない子どもが増えています。

さらに、難民が流入し食糧や家賃などが高騰したことにより難民受け入れ地域住民の難民に対する嫌悪感が高まっています。この影響で、学校内外で、シリア難民の子どもが暴力やいじめに遭っており、子どもたちが安心して学校に通えず、子どもを教育から遠ざける原因となっています。

地域全体で、子どもの教育に取り組みます

補習授業に集った子どもたち
補習授業に集った子どもたち

ワールド・ビジョン・ジャパンは、ヨルダン北部の小学校に就学中の子どもたち(6~13歳)が、教育から取り残されることがないよう、教育センターを5カ所設置し、3カ月間の補習授業を2回実施します。教育センターに安全に通えるように、保護者やコミュニティを巻き込んで、集団登校や通学バスなどの通学サポートを行います。

また、授業が終わった後は、30分間、音楽やゲームなどのレクリエーション活動を行い、子どもたちが心の安定を取り戻せるように支援します。

さらに、保護者や地域住民と、子どもの教育や、暴力やいじめから守るために地域住民ができることについて話合うことを通して、地域全体で、子どもが安心して勉強できる環境づくりを目指します。


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※ 難民として暮らすシリアの子どもたち自身によるレポート「STAND WITH ME 私たちの不確かな未来」では、日常的に起こる様々な問題が報告されるとともに、国際社会に対する要望が訴えられています。(英語)

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