外務省のウェブサイトにカンボジアでの母子保健・栄養改善事業の報告が掲載されました

(2022.09.02)

ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)がカンボジアのタケオ州で3年間(2017年3月~2020年2月)実施した、「タケオ州における母子健康改善事業」に関する第三者評価報告書が外務省の公式ホームページに掲載されました。

  • 報告書名:「令和3年度日本NGO連携無償資金協力 第三者評価報告書」
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第三者評価について

外務省が策定した「日本NGO連携無償資金協力事業第三者評価ガイドライン」に沿って、ラオスおよびカンボジアで実施された4事業について、第三者機関(株式会社国際開発センター)が評価調査を実施しました。評価対象事業は外務省により選ばれました。

以下の目的で調査が実施され、評価報告書が作成されました。

1:評価結果を基に提言、教訓を導きだし、外務省及び実施団体であるNGOにフィードバックすることにより、NGO事業の改善を図るとともに NGO事業の質の向上を図る
2:事業の成果を公表することにより、国民への説明責任を果たす
3: NGO固有の価値を国民に広く可視化し、NGO事業に対する国民の理解を促進する

第三者評価された点のなかで特筆すべき点

「本事業は期待どおりの効果が発現した」との評価を受けました。特筆すべき点として、評価報告書の中から以下抜粋し、ご紹介します。

  • 本事業における、タケオ州内2つの保健行政区職員、26の保健施設、村落保健支援グループ等への産前産後ケア、新生児に望ましい環境づくり、栄養、予防接種等に関する研修を通じ、母子保健サービスの質が向上した
  • 村の住民が保健センターへの交通費等を無利子で借りることができる「コミュニティ保健栄養基金」が217の村で設立され、母子保健サービスへのアクセスも改善された
  • 189村において設立された母親支援グループによって栄養、母乳育児、産前産後健診の重要性等の啓発活動が実施され、住民の母子保健に関する知識が向上するとともに、特に栄養不良児の比率が多い村において実施した栄養改善事業(SKL モデル)を通して乳幼児の栄養状態が改善した
  • 保健施設への水衛生関連施設の供与を通して、これらの施設における安全な水への持続的アクセスが確保された
  • これらの活動により、産前産後検診の受診率、乳幼児の予防接種実施率が向上し、下痢発症時に正しい対処法を受けた乳幼児の割合や産後に鉄剤および葉酸剤を摂取した母親の割合が大幅に上昇し、栄養不良児の割合が低下した
  • 本事業で実施団体が発揮した「固有の価値」として以下の4点が挙げられる
    母子保健サービスの提供者だけでなく利用者に対しても啓発活動等の支援を行い、地域の母子の健康状態の改善に総合的に働きかけたこと
    事業実施地における長年にわたる実績と経験を活かした活動であったこと
    住民への啓発活動やコミュニティ保健栄養基金の運用等、住民で構成される村落支援グループや母親支援グループが中心となり、コミュニティ主体で活動を実施したこと
    日本人プロジェクト・マネージャーが積極的に事業実施地を訪問し、日本の「顔が見える支援」であったこと
  • 意欲的な取組:事業に関する映像の制作やSNSでの積極的な発信を通じて現地での日本のプレゼンス向上に貢献した
  • 実施団体への提言:実施団体(WVJ)は引き続き事業実施地の一つであるボレイ・チュルサール郡にて地域開発プログラムを実施中である。実施団体の現地スタッフから追加研修やフォローアップについて現地機関に可能な範囲で働きかけることができれば、本事業の効果がさらに持続することが期待できる
地元で入手可能な食材で栄養価の高く、バランスのとれた食事の調理法を学ぶ地域住民と指導するWVスタッフ
地元で入手可能な食材で栄養価の高く、バランスのとれた食事の調理法を学ぶ地域住民と指導するWVスタッフ
コミュニティ保健栄養基金に参加(寄付)する住民
コミュニティ保健栄養基金に参加(寄付)する住民
保健センターに設置した貯水タンク
保健センターに設置した貯水タンク

担当スタッフより一言

本事業を支えてくださった皆さまに感謝申し上げます。

カンボジア、タケオ州の農村部で、母子ともに必要なときに基本的な保健サービスにアクセスでき、子どもたちの命が救われ、健康に力強く成長できるよう3年間事業に従事しました。事業終了後2年以上の年月が経った今でも、事業の成果が現地に根付いていることが分かり、現地スタッフとともに乗り越えた幾多の困難を振り返りつつ、大きな喜びを感じました。
私たちではなく、中立な立場にある第三者機関が現地行政や住民へのインタビューを交えて詳細に調査をし、「期待どおりの効果が発現した」と結論付けてくださったことは非常に価値あることでした。

今回の評価から得た自信、学び、寄せられた提言を活かして、WVJは今後も世界各地で子どもたちが豊かないのちを生きられるよう、より良い支援を届けてまいります。

支援事業部 開発事業第2課(南アジア・中南米地域) 課長
松岡 拓也

支援地を訪問中の松岡スタッフ
支援地を訪問中の松岡スタッフ

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