【バングラデシュ】外務省「日本NGO連携無償資金協力」事業の終了報告動画が届きました!

(2019.10.07)

2016年3月より2019年4月の3年間にわたり、外務省「日本NGO連携無償資金協力」皆さまからの募金により、バングラデシュ人民共和国シレット県ゴワインガット郡において「コミュニティと取り組む水・衛生環境改善事業」を実施することができました。
終了報告の動画が届きました。ぜひご覧ください。


支援を実施したシレット県ゴワインガット郡には、一帯にハオール(Haor)と呼ばれる低湿地が存在します。雨期(6~10月)には、大量の雨とインドの山岳地域から流入する河川によって盆地全体が水没するため、周辺地域からのアクセスが非常に困難となり、長らく国全体の開発から取り残されてきました。

そのため子どもの健康状態も全国平均を大きく下回り、水・衛生環境についても、安全な水を利用している世帯の割合は62.0% 、衛生的なトイレを保有する世帯は20.3% 、全くトイレがない世帯も22.6%と深刻な状況でした。

ワールド・ビジョンは、このゴワインガット郡において公衆衛生状況を改善することを目的とし、
(1)貧困で弱い立場にある人々の飲料水へのアクセスの改善
(2)貧困で弱い立場にある人々のトイレへのアクセスの改善
(3)母親・保護者と子どもの衛生行動の改善、に取り組みました。


コミュニティ・ファシリテーターのメグナさん。地域の課題を語ってくれました

安全な飲料水は、母親と子どもにとって緊急のニーズ

支援が始まる以前、人々は飲料水や家庭用の水を水路や川からくんでいました。そのような不衛生な水を使うことによって下痢やコレラやその他の病気が引き起こされていました。

清潔な水が不足していること、屋外での排泄を含む不衛生な生活習慣が続けられていることは、地域社会に深刻な公衆衛生上の問題をもたらしていました。

ゴワインガットの保健衛生問題に対処するため、ワールド・ビジョンは地域に根差した水衛生改善事業を実施することにしました。


子どもたちを家に置いてきれいな水がある遠くの水源まで行くことができず、近くの汚れた水たまりの水をくむしか選択肢がありませんでした

プロジェクト地域の調査と、コミュニティ・ファシリテーターの育成

経験豊富なスタッフを配置して、プロジェクト地域の状況を調査、どのような利害関係者がいるか、どのように住民を動員するかを調査しました。

また、地域コミュニティから55名のコミュニティ・ファシリテーターを選出しました。ファシリテーターは地域の人々と緊密に連携して、基本的な衛生について学ぶセッションを実施しました。

地域のお母さんに衛生について説明するコミュニティ・ファシリテーター

255カ所に給水拠点を設置、9,300以上の世帯に安全な水が提供されました


このプロジェクトでは、飲料水を最も必要としている脆弱なコミュニティを特定し、255カ所の給水拠点を設置しました。これにより、ゴワインガット郡の9,300を超える世帯に安全で清潔な水が提供されました

給水拠点の設置にあたっては、コミュニティ・リーダーが住民と話し合いを重ねました。その後、住民自身が深井戸を設置する場所を選び、ワールド・ビジョンが井戸を支援しました。

井戸や給水施設の維持管理を確実に行うために、地域ごとに水管理委員会が設置されています。

支援で設置された家の近くの給水拠点で、安全な水をくめるようになりました

村落議会のメンバー、アブドゥルさん:

「ワールド・ビジョンが私たちの地域に来て、水へのアクセスを改善する事業を始めると聞いたとき、とても嬉しかったです。

衛生に関する行動を改善する重要性についても学びました。

これは私たちの子どもたちの健康のみならず、地域社会全般の改善に役立ちました

村落議会のメンバーのアブドゥルさん

安価な材料で作れる自家製鉄除去フィルターを導入


多くの水源では水に含まれる鉄分濃度が高く、飲用には好まれないものでした。そこで事業では鉄分濃度が高い井戸27基に鉄除去装置を設置しました。

加えて、この事業では砂とレンガのチップといった安価な材料を使用して鉄分濃度を下げることができる自家製鉄除去フィルターも導入しました。

鉄分濃度を下げることができるフィルターを導入

支援地域に住むモサモットさん:

「支援を通して、汲んできた安全な水を衛生的に保つ方法を学びました。

赤いペンキで塗られた井戸はヒ素に汚染されていて安全ではありませんが、緑で塗られた井戸は大丈夫です。私たちはいつも緑色の井戸を使います。

水汲みに行くときは、最初に容器と次に水の出口を洗います。水を持ち帰るときは、容器の口を覆ってゴミやほこりなどが入らないように高い場所に置きます」

支援地域に住むモサモットさん

2,434基の衛生的なトイレを設置し、維持管理の研修も実施しました


この事業では、ニーズの高い村の衛生状態を改善するために、2,434基のシングルピット式およびダブルピット式の衛生的なトイレを設置しました。


地域住民は、衛生習慣の改善とともに、トイレの維持管理についても研修を受けました。

トイレの後は石鹸で手を洗うことを研修で学びました

衛生的なトイレが使えるようになったジョリさん:

「今では私も家族も衛生的なトイレを使っています。おかげで病気にもかからなくなりました」

衛生的なトイレが使えるようになったジョリさん

子どもたちも衛生についての教育を受けています


学校では、子どもたちも衛生についての教育を受けています。

まず教師がワールド・ビジョンから衛生についての研修を受けました。
その後、生徒たちに爪切り、歯磨き、トイレに行った後の手洗いといった衛生習慣の改善について指導を行いました。

教師のモハマッドさんは、子どもたちの変化をこう語ってくれました:
「子どもたちが下痢やその他の疾患にかからなくなり、病気のために学校を休む日数が少なくなりました」

支援地域の学校に通い、衛生について学んだ子どもたち

ゴワインガット郡長から、支援に対する感謝の言葉をいただきました

ゴワインガット郡長のビシュワガティ・クメール・パウルさん:

「ワールド・ビジョンの水衛生改善事業に心より感謝申し上げます。

ワールド・ビジョンは、ゴワインガット郡に多くの新しい給水施設とトイレを設置し、私たちのコミュニティの発展に大きく寄与しました」

ゴワインガット郡長のビシュワガティさん

支援は子どもと大人の両方の健康にプラスの変化をもたらしました

ゴワインガット郡の脆弱な地域に住む7万人の人々が衛生状態と習慣を改善することによって、子どもと大人の両方の健康にプラスの変化をもたらすことができました。
地域住民は、不衛生な行動や汚染された水のリスクを十分に認識しています。水系感染症の発生率は劇的に低下しています。

地域社会は現在、必要な情報を得て、必要な対策を講じて、子どもたちの健康的な未来を保証するべく取り組みを続けています。

温かいご支援で支えてくださった皆さまに感謝します。ありがとうございます。

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