アフガニスタンの子どもたちが飢餓で亡くなるリスクを警告
アフガニスタンにおける人道ニーズのより一層のたかまりから1年、国際NGO調査報告書を発表 (2022.08.12)

世界の子どもを支援する国際NGOワールド・ビジョンは、2021年8月のアフガニスタン情勢の悪化から1年を迎え、国際社会の関心が薄れる中、同国の子どもたちが飢餓、望まない児童婚・児童労働の危険にさらされていることを警告します。国際社会から、迅速な支援が求められています。

  • アフガニスタン国内の調査対象地域に暮らす53%の子どもが深刻な栄養不良に陥っています
  • 調査対象の、男の子は10人中7人、女の子は半数以上が学校に行けず、児童労働に従事しています
  • 64%の妊婦が訓練を受けた医療スタッフの付き添いも得られず、自宅で出産しています

報告書『Afghanistan: A Children's Crisis(アフガニスタン:子どもたちの危機)』外部リンクは、800人の親・保護者を対象とした調査結果をもとに、2021年8月にアフガニスタンで発生した情勢の大きな変化から1年で、人々の生活がどの様に変わったかを報告しています。

今回の調査対象地域では、世帯収入の中央値が1米ドルを下回る0.95米ドル(約126円、2022年8月12日現在)で、調査対象の子どもの半数以上にのぼる53%は深刻な栄養不良状態にあります。

ワールド・ビジョン・アフガニスタンの事務局長アスンタ・チャールズはこう述べます。「子どもたちは飢えに苦しんでいます。子どもたちの親・保護者はこの現状に対して途方に暮れています。保護者達は、子どもたちがなんとか生き延びられるようにと、働かせたり、結婚させるしか選択肢がないのです。誰一人として、親がこのような選択を強いられることがあってはならないのです」

この調査の結果、男の子は10人中7人が、女の子は半数以上が家族を支えるために学校に通わずに働いていることが明らかになりました。保護者の57%が、自分の子どもが学校に通うことができていないと回答しました。

報告書 表紙
報告書 表紙

アスンタは続けます。
「子どもたちはこの激動の1年間に、重大なメンタルヘルスの問題を経験しました。私たちが話を聞いた保護者の66%が、自分たちの子どもが心理社会的な苦痛の兆候を示していたことを証言しました」

ワールド・ビジョンは、この調査の結果、アフガニスタン国内の公的保健サービスも危機的状況であること、その結果、女性たちと子どもたちの命が危険にさらされていることを報告しています。64%の赤ちゃんが自宅で生まれ、専門的な訓練を受けた介助者の立ち合いのもとの出産は全体の3分の1以下という、出産をめぐる危険が高まっている実態が浮き彫りになりました。

この報告書では、妊産婦・新生児・子どもたちへの保健サービスの縮小と、保健に関する訓練を受けたスタッフの削減によって、これまで築き上げた保健サービスの成果が後退していると強く訴えかけています。ワールド・ビジョンは、この状況によって、妊産婦と新生児の死亡率が上昇しかねないことを警告します。

「国際社会が他の緊急事態を優先している一方で、アフガニスタンの子どもたちは忘れ去られています。人道支援は明確に経済制裁の対象外ですが、すべての政府が人道支援という重要な働きに資金を提供しているわけではありません。あまりにも多くのアフガニスタンの子どもたちが、早すぎる死の危機に直面しています。死を免れても、もはや学校に行くこともできず、飢えに苦しんでいます。そして、児童婚や児童労働を強いられるのです。今、各国のリーダーはアフガニスタンの子どもたちを思い出してください。アフガニスタンにとどまらず、世界中のすべての子どもがもつ権利に目を向けてください。子どもたちは、世界中のどこに住んでいようとも、遊んだり、学んだり、物事に励む機会があるべきです。そして、豊かないのちを生きる権利があるのです」

「アフガニスタンにおける近年の発展は、同国内における政治的・経済的不安定さと気候変動もあいまって、世界最悪の人道危機に直面する中で、失われる危険にさらされています。アフガニスタンの人々が現在直面している人道的危機を乗り越え、同国内の子どもたちの子ども時代を守るために、国際社会が必要な行動をとることを求めます」と、アスンタは訴えます。


ワールド・ビジョンとは

キリスト教精神に基づき、貧困、紛争、災害等により困難な状況で生きる子どもたちのために活動する国NGO。国連経済社会理事会に公認・登録され、約100カ国で活動しています。詳しくははこちら

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特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン
広報担当:加藤 早紀 【電話】090-6567-9711 【Email】saki_kato@worldvision.or.jp