東日本大震災 第78報~第80報

2012.06.11

東日本大震災緊急復興支援のための募金は受付を終了しています。

第80報:被災地で活動するNPOの基盤強化プロジェクト開始!(2012.5.25)

ワールド・ビジョン・ジャパンは、特定非営利活動法人日本NPOセンターに協力し、岩手県、宮城県、福島県の3県(以下、被災地域)において、復興支援に取り組む地元NPOの基盤を強化し、その取り組みを後押しすることを目指し、「市民活動団体(NPO)育成・強化プロジェクト」を開始します。

被災地域NPOのリーダー育成を行います

宮城県南三陸町の子どもたち

東日本大震災では、地方自治体そのものが被災し、震災直後には機能不全に陥る中、支援が届きにくい分野を担うNPOやボランティアへの期待が高まり、被災地域で活動するNPOに対しても、過去にないほどの活動資金が寄せられています。

しかし、より長期的な復興のためには、被災地域のNPOが復興の担い手となって地域に根ざした取り組みを行い、その成果が持続していくことが不可欠です。また、地域のNPOが力をつけ、市民が地域づくりを担っていくことは、子どもたちが健やかに成長する環境を整える上でも重要です。

本プロジェクトは、被災地域の長期的・持続的な復興に寄与するため、被災地域で活動するNPOの育成と強化を目的に、被災地域NPOのリーダー育成を行うものです。実施にあたっては、日頃から全国各地でNPO支援に関わっているメンバーが、「寄り添い」、「実践」、「包括」をキーワードに、長期にわたるサポートを行います。

プロジェクト概要

■開催時期:2012年5月~2013年7月
■開催地域:岩手県、宮城県、福島県
■受講対象:日本NPOセンターが実施する「東日本大震災現地NPO応援基金」への応募団体の中から、応募により決定。ただし、集合研修は一般参加も可
■内容:
①組織基盤強化のための集合研修:「NPOを磨く15の力」と題し、組織運営の知識を学ぶ
②メンターサポート:各受講者に1名の相談者をマッチングし、1年間にわたりサポート
③実践プログラム:受講団体の基盤強化実践のためのプログラムへの資金支援
④インターンプログラム:受講者が一定期間、他団体に出向いて研修
■主催:特定非営利活動法人日本NPOセンター
■協力:特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン



第79報:南三陸町の子どもたちに、温かい給食が届いています(2012.5.22)

給食を食べる、入谷小学校の生徒の皆さん

「給食はおいしい!4月になってから、一度も残してないよ」
宮城県南三陸町の入谷小学校で、給食をほお張りながら、4年生の男の子が話してくれました。

南三陸町では、東日本大震災によって学校給食センターが流失。ワールド・ビジョン・ジャパンは昨年6月から今年3月まで、企業の協力を得ながら町内すべての小・中学校に「おかず給食」支援を行うとともに、既存施設の改築工事などを進めてきました。

そして今年4月、既存施設の整備が完了。南三陸町の学校給食センターで調理された完全給食が、子どもたちに届けられています。

震災前と同じように

当日の給食

5月14日(月)、給食時間の入谷小学校を訪問すると、全学年の生徒の皆さんが集まっているランチルームは、にぎやかな声に包まれていました。

学年ごとに協力して配膳し、先生方も一緒に「いただきます」をすると、みるみるうちに給食はなくなり、あっという間に終了。子どもたちのパワーを感じる時間となりました。

「(震災直後は)給食はコッペパンと牛乳だけで、いつまで続くのかと思っていました。去年6月、ワールド・ビジョン・ジャパンの支援でおかずが届いた時は、嬉しかったです。今年度からは、震災前と同じように、温かい給食が食べられるようになりました」と、入谷小学校の丸森校長先生は話してくださいました。




第78報:宮古市でのコミュニティ形成支援~支え合う関係づくりを目指して~(2012.5.18)

作業のようす

「集まる場所ができて嬉しい。野菜が採れたら、皆で一緒に食べられるね」
そう笑顔で語るのは、岩手県宮古市の藤畑仮設住宅団地で暮らす吉川さんです。

5月12日(土)、吉川さんを始め同仮設団地で暮らしている方々およそ10名が集まり、団地内の空いたスペースに、小さな菜園を2区画作りました。枠づくりや、土入れ、種まきなどを、皆さんで協力しながら行い、笑顔と笑い声の絶えない時間となりました。

藤畑仮設住宅団地は、入居者が24世帯と少ない、いわゆる「小規模仮設団地」です。小規模仮設団地では、入居者の方々が集まれる集会所や談話室が設置されていないことが多いため、入居者同士の交流や自治会が生まれにくいこと、また入居者の引きこもりにつながってしまうことが懸念されています。

仮設団地内の入居者同士だけでなく、地域の方々とのつながりも

入居者の方と話す、栗林スタッフ(左)

「宮古市社会福祉協議会と相談し、小規模仮設団地内の入居者同士だけでなく、団地がある地域の方々とのつながりも生まれることを目指して、働きかけていくことになりました」と、担当の栗林スタッフ。

同じ仮設団地に暮らす方々が知り合い、助け合っていけるコミュニティが生まれることは、子どもたちの健やかな成長にとっても望ましいことです。

ワールド・ビジョン・ジャパンはこれまで、宮城県南三陸町と気仙沼市岩手県宮古市で、コミュニティ形成支援を行なってきました。宮古市では昨年から、宮古市社会福祉協議会や他団体の協力を得ながら、藤畑仮設住宅団地を含む宮古市内の5カ所の小規模仮設団地で、炊き出しイベントを開催。
「参加者の方々からは、"久しぶりに笑った""皆で一緒に食べて、楽しかった"という声をいただきました」と、栗林。

助け合い、見守り合い、支え合える関係のために

その後、藤畑仮設住宅団地では自治会が形成され、入居者の方々から「皆で一緒に使える菜園を作りたい」という要望があがりました。そこでワールド・ビジョン・ジャパンは、菜園に必要な資材などを支援することを決定し、仮設支援団体であるEARTH MIYAKOと協働で、12日(土)に実施しました。

「人は、人と出会わなければ支えあうことはできません。宮古市の被災者の方々が、"仮設"というコミュニティの中で、お互いに助け合い、見守り合い、支え合える関係をつくるための環境づくりをお手伝いすることが、ワールド・ビジョン・ジャパンとしての"コミュニティ形成支援"だと思っています」と、栗林は語りました。