東日本大震災緊急復興支援について および緊急期報告書(2011.08.31)

2011.08.31

(2011年8月31日現在)

1.基本方針 -日本の子どもたちも、途上国の子どもたちも-

南三陸町でのおかず給食支援のようす

ワールド・ビジョン・ジャパンは、開発援助緊急人道支援アドボカシーを行う国際NGOとして、東日本大震災後、日本国内としてはかつてなく大規模な緊急復興支援事業を実施することになりました。これまで世界各地の緊急人道支援の現場で培ってきた経験を最大限に活かして、被災地が一日も早く復興し、子どもたちが健やかに成長できる環境が整えられるよう、総力を挙げて取り組みます。

一方で、途上国の子どもたちを取り巻く厳しい環境は依然として変わっておらず、年間810万人の子どもたちが5歳の誕生日を迎える前に命を落としています。ワールド・ビジョン・ジャパンは、東日本大震災復興支援に力を注ぎつつも、途上国の子どもたちへの支援もこれまでと変わらず実施します。

2.支援対象地

支援地の決定に際しては、被災地でのニーズ調査、および、行政機関等との協議により、支援が優先的に必要とされる地域を選定し、他団体との支援重複が発生しないように調整の上、決定しています。

大震災発生直後から宮城県、岩手県で支援を始め、これと並んで福島県における支援活動も視野に入れて検討しましたが、緊急期においては団体のキャパシティによる制約のため、3県での支援を同時に立ち上げることは困難で、緊急支援実施はやむを得ず断念せざるをえませんでした。

しかし、緊急から復興支援への移行に伴う支援活動の見直しを行う中で、福島県で被災した方々への支援も行っていくこととなりました。

3.支援内容

チャイルド・フレンドリー・スペースで遊ぶ子どもたち

Ⅰ.緊急期 (実施額 10億221万9,872円)
震災発生から約3カ月を緊急期と位置づけ、主に、緊急支援物資の配布と仮設住宅入居支援、子どもたちの通学支援と心のケアを中心に、宮城県と岩手県の延べ9万人以上に支援を届けました。

Ⅱ.復興期 
被災地が中・長期的な展望の下、子どもが健やかに成長し、豊かないのちを生きられる社会として復興していくことを目指して、以下の5つの分野を中心に活動を行います。

子ども支援
子どもたちの学びや遊びの環境を整え、心のケアを行います。特に、親を亡くした子どもや、親は生存していても、震災の影響により生活が困窮している家庭の子どもに、特別な配慮をもって支援します。

ワールド・ビジョン・ジャパンが支援している仮設生活用品

仮設住宅やその周辺地域でのコミュニティづくり 
仮設住宅に入居された方々が日常生活を取り戻すことができるように、高齢者の方々にも参加していただきつつコミュニティ形成のための支援活動を行います。

雇用確保と生計向上
地域の持続可能な経済基盤が回復し、大人たちに雇用がもたらされることは、子どもたちの生活が安定するために不可欠です。このため、宮城県三陸で漁業・水産業の復興支援を行います。

子どもを守るための防災対策
次の災害から子どもたちを守るため、子どもたちの声に耳を傾けつつ防災対策を支援します。

福島県被災者への支援
福島県から新潟県へ避難し、仮設住宅で生活している方々への支援を実施します。また、福島県内で避難生活を送っている方々への支援実施も、今後検討していきます。

以上の活動を行いながら、さらなる追加ニーズに対応して支援を展開していきます。被災地の市民社会自身が長期にわたる復興を担えるように、支援を通じて地元のNPOの活動強化を目指します。

4.支援実施期間

被災者の方々のニーズと、行政および他の支援団体の活動の進捗状況を見ながら、支援の成果が最大限になることを目指して、年内には決定します。

5.実施体制

気仙沼市での学用品配布のようす

新たに「東日本大震災緊急復興支援部」を設置するとともに、4月15日には、岩手県一関市に活動拠点となる一関事務所を開設しました。7月31日現在、約40名のスタッフが東日本緊急復興支援に従事しています。

支援実施にあたっては、被災地各自治体(災害対策本部、教育委員会)、学校・幼稚園等教育機関、社会福祉協議会、被災地コミュニティの皆さま、協力企業、教会、NPO、ボランティアなど、多くの団体、個人の方々とパートナーとして連携しています。地方自治体が自ら被災し、甚大な被害を受けた状況を受け、行政サービス機能が回復するまでのもっとも厳しい間、その機能をサポートするとともに、NPOならではの知見とフットワークを活かした支援を行います。

6.資金

6月30日現在、30億3,656万7,062円(うち、日本国内での募金が9億1,403万7,448円、海外のワールド・ビジョン事務所を通じて21億2,252万9,614円の募金)をいただいています。また、7月以降も各方面から寄せられている寄付のご意向を含めると、総支援額は43億円程度となる見込みです。そのほかにも、多くの企業の皆さまから物品支援を含む多大なご支援・ご協力をいただきました。

皆さまの尊い想いを深く受け止め、6月30日までに、10億221万9,872円を、緊急期の活動に役立たせていただきました。残りのおよそ33億円は、被災地が中・長期的な展望の下、子どもたちが健やかに成長し、豊かな命を生きられる社会として復興することを目指して、今後の復興支援のなかで大切に活用させていただきます。なおこの募金は、途上国の子どもたちのための募金とは別の特別会計によって管理させていただいています。

東日本大震災緊急復興支援 緊急期(3月11日~6月30日)の活動報告書を公開しています

東日本大震災緊急復興支援 緊急期(3月11日~6月30日)活動報告書(PDF:329KB)


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