子どもとお母さんの命を救うために～企業の想いをケニアにつなぐ母子保健事業～

(2016.3.16)

: 塩野義製薬株式会社の訪問を歓迎するケニアのお母さんたち

ワールド・ビジョンは、妊娠中・出産後のお母さんと赤ちゃん・子どもを同時に守る「母子保健」を様々なパートナーとともに進めています。ケニアで始まった「Mother to Mother SHIONOGI Project」は、塩野義製薬株式会社との連携で始まったプロジェクト。製薬会社としての強みを活かした支援をしたいという企業の想いを、ワールド・ビジョンが支援を届けるコミュニティのお母さん、事業実施のパートナーである保健行政関係者につなげ、実現します。

なぜ「母子保健」なの？

本来素晴らしい祝福であるはずの新しい命の誕生が、途上国では多くの子どもと女性にとって死と隣り合わせとなっています。
世界では毎日830人の妊産婦が命を落とし、5歳未満で亡くなる年間590万人の子どものうち、45%は生後1カ月以内に命を落としています。お母さんと赤ちゃんが直面する妊娠・出産のリスクを減らすことが、母子の命を救い、子どもたちが人生を健やかに歩みだす鍵を握ります。

「Mother to Mother SHIONOGI Project」

2015年秋、塩野義製薬株式会社の総合ビタミン剤「ポポン®S」シリーズの売り上げの一部と社員の寄付により、ケニアの母子を支援する「Mother to Mother SHIONOGI Project」がスタートしました。

今後3年間、産科棟を併設した保健センターの建設、医療従事者や村落保健員の能力強化、母親グループ「Mother to Mother」を通しての地域全体への正しい保健知識に関する啓発活動等を実施します。

: 巡回診療に参加し、健診を終えた母子

巡回診療による健診の様子

: 母子手帳（記録）を確認

: 母子で体重計

: はしかの予防接種

ワールド・ビジョンだからできる支援

母子保健の支援を行い、終了後も成果を活かし続けるためには、地域の行政関係者や、支援対象であるお母さんたちと、ともに歩んでいくことが不可欠です。「Mother to Mother SHIONOGI Project」は、チャイルド・スポンサーシップによる包括的な支援を実施中のイララマタク地域で行います。支援地域の人々と信頼関係を築いて長期支援を行っているワールド・ビジョンの強みを活かせる支援です。

行政との連携
子どもやお母さんが産前・産後健診や予防接種等の保健サービスを利用しやすくするために、ケニアの国・県・地域各レベルの行政と協力します。例えば、行政が医療従事者の人件費、バイク、医薬品を提供し、ワールド・ビジョンがガソリンを支援することで、遠隔地で道路事情の悪い地域でも巡回診療を行うことができるようになります。
コミュニティの人々に寄り添って
保健施設ができても、コミュニティのお母さんたちが実際に利用しなければ意味がありません。ワールド・ビジョンは、これまでの経験から得たコミュニティや家庭での意思決定プロセスに対する理解を活かして、保健施設の利用促進や啓発活動を行います。
他分野の活動と響きあって
子どもとお母さんの命を守るためには、水・衛生環境の改善、学校での教育も鍵となります。複数の分野にまたがり包括的に支援をするチャイルド・スポンサーシップと母子保健に特化した「Mother to Mother SHIONOGI Project」が相乗効果を生み、母子の健康が守られていきます。

: 塩野義製薬株式会社の皆さまがナロク県知事を表敬訪問

: プロジェクトへの期待を込めた集合写真(塩野義製薬株式会社の皆さまとイララマタク地域の人々)

: 2015年12月、メディア関係者向け説明会を開催

プロジェクト担当の想い

: WVJスタッフ谷村（左）とプロジェクトリーダーの土田さん（右）

力を合わせて、このプロジェクトをぜひ成功させたい

塩野義製薬株式会社　海外事業本部　課長補佐
Mother to Mother プロジェクトリーダー　土田　愛さん
「Mother to Mother SHIONOGI Project」は、かつて青年海外協力隊として赴任したケニアで直面した現実に対して、私の勤める塩野義製薬株式会社の強みを活かしてできることは何かと考え続け、会社に提案したことから生まれました。
今回ケニアを訪問し、ワールド・ビジョンが政府・行政・他団体から信頼され、コミュニティに受け入れられ活動を進めていることが確認できました。塩野義製薬、ワールド・ビジョン、現地の人々の力を合わせて、このプロジェクトをぜひ成功させたいと思います。

組織を超えたチームの一員として全力で取り組みます。

ワールド・ビジョン・ジャパン
ドナーエンゲージメント課　谷村　美能里
事業地で出会ったお母さんたちは、その眼差しも肩に回された細い腕にも力がありました。企業の想いを託していただき、母の強さを引き出し、母子の健康改善につなげる当プロジェクトに、組織を超えたチームの一員として従事できることはワールド・ビジョンのスタッフ、同時に、一人の母としてとても光栄です。全力で取り組みます。