【南スーダン独立から6年】紛争と食糧危機のダブル・クライシスに直面

(2017.07.07)


南スーダンが2011年7月9日に独立を果たしてから6年を迎える今日、子どもたちの健康、教育、そして安全が危機に晒されています。

ワールド・ビジョン南スーダン事務所の事務局長、ペリー・マンスフィールドは、次のように話します。
「南スーダンの子どもたちは、二重の危機(ダブル・クライシス)に直面しています。紛争により、家を追われ教育の機会を奪われただけでなく、同時に、経済破綻や農業の中断による食糧危機が起きているのです」

1つ目のクライシス:紛争

紛争から逃れている難民の子どもたちの現状

2011年に独立を果たした南スーダンは、2013年12月、政府軍と反政府軍の間で武力衝突が発生し、国は再び内戦状態へ陥りました。戦闘は国内各地に広がり、これまでに200万人が国内避難民となり、約180万人が隣国へ逃れています。

昨年、国の1/4の学校が閉鎖されたこともあり、南スーダン国内にとどまっている子どもたちの半数以上が、教育を受けられていません

隣国へ逃れる子どもたちの多くは、教育の機会を求めて、祖国を離れる決意をしています。しかし、難民キャンプにたどり着くまでの道のりも、子どもたちにとっては過酷です。

子どもたちは、その経験を次のように話します。

「草むらで何か音を聞いた時には、襲撃されるのではないかと、いつも怖い思いをしていた」

「エチオピアに向かって歩いている途中で、お父さんが戦闘で死んだことを知った。とても悲しかった」


難民キャンプに辿り着いてからも、過酷な生活が子どもたちを待ち受けます。約6万人が暮らす難民キャンプでは、人口が密集しているため感染症が蔓延するリスクが伴い、中には、35人が一緒に暮らしているテントもあります。

十分でない食糧と水、限られた就労や移動の機会、受入れ地域との軋轢(あつれき)などが、子どもたちやその家族に厳しい生活を強いています。


1つのテントに35人で暮らしている家族とその親戚


「失われた世代」を生まないために

ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)は、ジャパン・プラットフォーム(JPF)からの助成金と皆さまからの募金により、2015年8月末から、南スーダン南西部の西エクアトリア州タンブラ郡(現32州制の中では、タンブラ州)で、教育支援事業を実施しています。初等教育支援では、校舎建設、教育啓発活動、教員研修等を通じて、子どもたちが安心して学べる環境を整えています。

エチオピアでは、避難によって将来への見通しが立たず、自暴自棄になったり、武装勢力への勧誘、犯罪のリスクに晒されやすいユース世代(中高校生)を対象にした教育支援、また、将来の国の再建を担う人材育成、多民族との平和共存を目指した活動などを行っています。

「南スーダンの発展のために働きたい」
「医者になって、人の命を救いたい」
「ワールド・ビジョンで働いて、子どもに教育の機会を作ってあげたい」

子どもたちは、少しずつ、希望や夢を持つようになっています。


2つ目のクライシス:食糧危機

人口の約半数が、飢餓のリスクに

2017年2月20日、南スーダン北部ユニティ州の一部地域で飢饉が発生したことが宣言されました。その地域での飢饉状況が終了したことが、6月末に報告されたものの、今もなお、南スーダンの人口の約半数が、飢餓のリスクに晒されています。

ほぼ全人口が、人道支援団体からの食糧配布に頼って生き延びているのが現状で、治療を受けなければ死に至るほどの栄養失調状態にある5歳未満の子どもは、100万人にものぼります。


子どもたちの命を守る、栄養支援事業

2017年5月2日より、南スーダンの旧ワラップ州トゥイッチ郡(現トゥイッチ州)にて、急増する急性栄養不良に陥る子どもたちと妊娠・授乳中の母親の栄養状態の回復をサポートし、命の危険にさらされている子どもたちを守る、栄養支援事業を開始しました。この事業は、ジャパン・プラットフォーム(JPF)からの助成金と皆さまからの募金で実施しています。

命の危機にさらされている子どもたちを救うため、WVJは、以下の支援活動に取り組んでいます。

①栄養治療の実施
②栄養治療に関わる人々の能力強化
※詳しくは、こちらをご覧ください

WVJは、食糧・栄養危機がかつてない危機的レベルに陥っている南スーダンでの活動を、これからも続けていきます。


難民支援募金/緊急食糧援助募金 へのご協力をお願いします

難民支援募金は教育のために、緊急食糧援助募金は栄養改善のために役立せていただきます。

※ワールド・ビジョン・ジャパンへの寄付は、税制優遇措置(寄付金控除)の対象となります。

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