G8サミットを前に 「成長のための栄養サミット」の成果

2013.06.13

栄養不良をなくすため、世界規模で230億ドルの資金が約束されました

栄養改善の研修に参加し、栄養価の高い食事を子どもたちに与えている母親(バングラデシュ)

6月17~18日に英国北アイルランドにおいて、G8ロック・アーン・サミットが行われます。その1週間前にあたる6月8日にロンドンで、英国政府主催による「成長のための栄養サミット」が行われました。

画期的なことに、栄養不良と闘うため、各国政府、企業、援助機関などがこれから8年間の間に230億ドルの資金を供出することがこの場で約束されました。ワールド・ビジョン(WV)も活動資金のうち12億ドルを栄養不良対策のためにコミットすることを表明しました。

ワールド・ビジョン(以下WV)は、このイベントに向け、栄養不良をなくすための資金の必要を、各国政府や、世界銀行等の国際機関に対して提言してきました。この成果が、今回の世界規模のコミットメントにつながり、2020年までに慢性的な栄養不良の子どもたち2,000万人を救える見通しがついたことを心から歓迎します。

先進国や支援機関からだけでなく、マラウイやエチオピア、コンゴ民主共和国など、栄養不良が自国の大きな課題である国々や企業からも資金の約束がなされたことに、大きな意義があります。

脆弱でも、希望はある

栄養不良の子どもたち(コンゴ民主共和国)

今回の「成長のための栄養サミット」開催に先立ち、WVは紛争などにより特に脆弱な状況に置かれている国での栄養改善の必要性やその課題についての調査報告書、"Fragile but not helpless" (「脆弱でも、希望はある」)をまとめ、提言活動に活かしました。

報告書では、43%の子どもが慢性的栄養不良にあるコンゴ民主共和国の事例などを挙げながら、紛争の影響などにより脆弱な国々では、治安や資金などの問題が支援国による栄養改善の介入を妨げてきたものの、こうした国でも子どもの栄養不良をなくすことは可能であり、より多くの資金を伴った長期的な支援が必要なことを訴えています。

世界的な医学雑誌ランセットは「成長のための栄養サミット」開催と時期を同じくして、5歳未満の子どもの死亡の45%に、栄養不良が影響しているとの見解を発表しました。実際、5歳未満の子ども4人に1人、1億6,500万人の子どもたちが、栄養不良により低身長などの発育不良や慢性的な栄養不良の状態にあり、心身の長期的な発育における影響が懸念されています。

栄養改善は子どもたちの健やかな成長を目指すWVにとって最優先課題です。これまでも、栄養と保健の問題について力を入れて取り組み、2012年だけで1億5,800万ドルを栄養関連の支援活動やアドボカシーのために投じてきました。WVは、今回の世界的な栄養への資金の約束を歓迎するとともに、今後本当に必要な資金が実際に拠出されていくように引き続き見守り、提言していきます。

調査報告書:"Fragile but not helpless" (「脆弱でも、希望はある」英文)


関連記事:子どもたちを救うG8サミットを!