すべての女の子に尊厳のある生活を!国際ガールズデー

(2016.10.11)


現在、世界人口の49.5%が女性です(データ出典:世界銀行)。明るい未来を拓くには、この世界人口の半数を占める女性の力が必要不可欠と言えます。しかし、女性であるというだけで、社会的に軽視、差別され、危険な目にあっている人が途上国をはじめ、世界中に多くいます。すべての女性と女の子が、恐怖や暴力のない、尊厳のある生活を送れるようになるために、10月11日の国際ガールズ・デーは大きな役割を担っています。

早すぎる結婚が奪う機会


現在、約7億人の女の子が、18歳未満で結婚しています。
そのうち3人に1人は、15歳を迎える前に結婚しており、その多くは本人が望んでいない形の強制結婚です(データ出典:UN WOMEN)。

早すぎる結婚の大きな原因は、貧困
貧しい家庭にとっては、娘が結婚することで経済的な負担が軽減されるため、結婚を強いるケースが多くみられます。

早すぎる結婚は、女の子から子ども時代を奪い、教育の機会を奪い、身体的・精神的な準備が整う前の妊娠と出産で、命を奪うことさえあります。

結婚後は、貴重な労働力として期待され、家事や子育てはもちろんのこと、農作業や水汲みなどの労働も強いられ、小さな身体への負担は計り知れません。

バングラデシュのジュールさん(22歳)は、14歳の時、強制結婚させられたため学校を中退しました。ワールド・ビジョンの支援で結婚の縛りから解放され、現在、学校に通っています

根深い問題:女性器切除(Female Genital Mutilation: FGM)


FGMは、主にアフリカのおよそ30カ国で行われている儀式的行事です。

結婚まで純潔を守ることは結婚の条件を良くするとして、長い間続けられ、およそ1億3000万人の女性や女の子がFGMを受けているとされています(データ出典:WHO)。

生後間もない乳幼児から15歳までの女の子が対象とされており、対象の子どもたちは大量の出血、感染症や不妊、死のリスクにさらされます。

FGMがもたらす身体的・精神的苦痛は、女性と子どもの人権侵害であるという認識が広まり、新たに策定された「持続可能な開発目標(SDGs)」には、2030年までにFGMを根絶するという目標が盛り込まれています。

ソマリアで暮らすファティアさん(38歳)は、8歳のときに女性器切除を経験しました。ずさんな切除法により負った傷が、彼女を何年も苦しめました。今は、ワールド・ビジョンが実施しているFGM根絶プロジェクトの地域リーダーとして活動しています

ワールド・ビジョンの活動


ワールド・ビジョンは、チャイルド・スポンサーシップを中心とした開発援助を通して、すべての女性や女の子が尊厳のある生活を送れるよう、様々な啓発活動を行っています。

教育の必要性や大切さが軽んじられている地域ほど早婚が目立つため、教育の重要性についての啓発活動を行うとともに、早婚の危険性について認識を高めるための啓発活動も行っています。早婚の報告が入った際には行政と連携し、手続きを遅らせ、思いとどまるよう本人と家族に説得しに行くこともあります。

FGMに関する啓発活動も、ケニアエチオピアなどその慣習が根強く残っている地域を中心に行っています。FGMが与える悪影響についての研修を開催したり、FGMに代わる通過儀礼を提案し、取り入れた地域もあります。

伝統文化であるFGMを根絶するには、その地域で発言力を持つ指導者の意識を変えることが必要不可欠なため、地域や村の長老に対して、FGMの負の影響を訴える啓発集会を実施しています。

人々の意識を変革し、次世代に引き継いでいくには、時間がかかります。
ワールド・ビジョンは、地域の人々とともに、一歩ずつ、歩みを進めていきます。

FGMの危険性を支援地域内の学校やチャイルドクラブなどで啓発しています(ケニア)
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