【伊勢志摩サミット】 G7は子どもたちを取り残したままで良いのでしょうか?

(2016.05.27)

首脳宣言に対する、ワールド・ビジョンの見解

本日(5月27日)「G7伊勢志摩首脳宣言」が公表されました。ワールド・ビジョンは、G7リーダーが多岐に渡る議題について真摯に議論を重ねたことについて評価します。また、G7の機会にあわせて日本政府が公表した「G7伊勢志摩サミットに向けた我が国の主な貢献策」において、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)推進本部を立ち上げ、その貢献策として、中東地域の安定化や国際保健に対し具体的な資金的コミットメントを表明したことを評価します。


しかしながら、G7伊勢志摩サミット全体としては、G7リーダーは、SDGsの示す新たな目標に貢献するための、具体的な資金表明や取り組み案を示すことができませんでした。「誰も取り残さない」ことを掲げたSDGsの採択後に初めて開催されたG7伊勢志摩サミットには、世界中が期待を寄せていましたが、世界の超大国リーダーたちは、その期待にこたえることができませんでした。しかし世界の子どもたち、特に最も厳しい環境におかれた子どもたちは、具体的な行動を求めています。子どもたちは、これ以上待つことはできません。

■ 昨年のエルマウサミットで、G7は、2030年までに5億人を飢餓から救うという野心的な宣言を行いました。この宣言のもと、伊勢志摩サミットでは「Vision for Action(食料安全保障と栄養に関するG7行動ビジョン)」が提示されましたが、これを推進し目標を達成するための具体的な資金コミットメントを示すことができませんでした。毎年、300万人にものぼる5歳以下の子どもたちが、栄養不良のために命を落としています。

■ いまだ800万人以上の子どもたちが、シリア紛争のために避難生活を余儀なくされています。日本政府は、シリアおよび周辺国における人道的ニーズに対して新たなコミットメントを示した一方、他のG7諸国はこれに呼応することはありませんでした。

■ 危険かつ不衛生な環境で労働を強いられている8,500万人もの子どもたちがいます。毎年、莫大なインフラ投資を行うG7諸国は、それに携わる企業に対し、児童労働根絶を求める力があるにも関わらず、伊勢志摩宣言は、子どもたちを児童労働から守るための新たな具体的行動を示すことができませんでした。

■ 毎年、1億5,000万人が、健康を害し医療費の負担が増えることにより、貧困状況に陥っています。ワールド・ビジョンは、G7が交わしたユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)に対する明確なコミットメントを評価します。UHCは、最も脆弱な人々を資金上の困難から守り、母親や子どもたち等の健康を守り、SDGsの精神を守る、統合的な保健制度の構築を目指すものです。私たちは、G7諸国に対し、これらを実現するために、2017年中に具体的なコミットメントを示すことを求めます。

伊勢志摩サミットを振り返って

SDGsで掲げられた「誰も取り残さない世界」は、2030年に実現できるのでしょうか?ワールド・ビジョン・ジャパンのアドボカシースタッフとして、本サミットに向けて、他のNGOや政府等の関係団体と協働してきた柴田スタッフは語ります。

これまでと同じやり方をしていたのでは、様々な課題が相互に連関するSDGsの目標を達成することはできません。

ワールド・ビジョンはG7に対して4つのことを訴えてきましたが、G7伊勢志摩サミットでは、最も厳しい状況に置かれた子どもたちが、希望を持って明日を迎えることのできる、平和で持続可能な世界の実現に向けた明確な第一歩を明確に示すことができませんでした。2017年のイタリアでのG7サミットにおいて、今回の反省を踏まえた具体的なリーダーシップが示されることを期待しています」

発表された首脳宣言を分析するワールド・ビジョンのアドボカシーチーム

メッセージを伝えるため、様々な活動を実施しました!

チーム ワールド・ビジョンの面々。左から志澤スタッフ、WVインターナショナルのクリススタッフ、事務局長の片山、WVドイツのマーウィンスタッフ、柴田スタッフ
NGOが協働して企画した、SDGsにちなんだ「17人18脚」のパフォーマンス
NGOが協働して企画した書道パフォーマンスで、「今日の一文字」の解説をする柴田スタッフ
「保健」の記者会見で、記者の質問に答えるマーウィンスタッフ
「責任あるサプライチェーン」の記者会見で、児童労働廃止を訴える志澤スタッフ
メディアの取材を受ける事務局長の片山(左)