ポストMDGsに向けて外務省との意見交換会報告

2013.01.31

WVの基本的考え方と子どもや若者の意見を提出しました。



WV片山事務局長と玉川聖学院高校生からポストMDGsの基本的
考え方子どもや若者の意見を外務省 南博NGO担当大使に提出しました

ミレニアム開発目標(以下MDGs)の達成期限である2015年以降の開発目標に向けて、国連、国連機関や各国政府主導による話し合いが世界中で行われています。ワールド・ビジョン(以下WV)では、ポストMDGsに向けてのWVの基本的考え方をまとめました。その中にあるように、子どもや若者がポストMDGsの話し合いに参加し、子どもたちの声を取り入れた目標が定められることが重要だと考え、世界中で提言活動を行っています。

WVでは、この考え方の下、これまでに子どもや若者の意見を世界中で集め、話し合いの場に届けています。日本でも、国際理解に関する授業を行った学校の生徒約500名から、意見を集めました。そして1月28日に、これまで集約したポストMDGsへの子どもや若者からの意見とWVのポストMDGsに関する基本的考え方を、玉川聖学院高等部8名の皆さんとともに外務省に届け、意見交換の時間を持ちました。

WVの基本的考え方と子どもや若者の意見の説明

玉川聖学院高校生が子どもと若者の意見を説明しました
玉川聖学院高校生が子どもと若者の意見を説明しました

意見交換の場では、WVJ片山事務局長から、ポストMDGsが最も弱い立場にある子どもたちに衡平※1 な効果がもたらされること、子どもや若者が話し合いのプロセスに参加する重要性、脆弱性※2 に考慮したターゲットの設定について説明しました。

高校生は、これまでWVが集めた子どもや若者からポストMDGsへ今後の取り組みに大切だと思われる意見を若者代表として報告しました。
意見の3割を占めたのが飢餓貧困の撲滅、次いで乳幼児死亡率の削減、環境の持続可能性の確保、普遍的初等教育の達成、開発のためのグローバル・パートナシップの推進の順になりました。その他、子ども兵士反対、戦争反対、安全な水へのアクセスの強化、孤児支援、平等の推進、「子どもが夢を持ち、かなえられる環境」などの意見もありました。意見のまとめとして、世界の子どもたちの命や生活に関心が高いことも伝えました。

また、子どもや若者がポストMDGsの話し合いに参加する重要性や、先進国の一員として国際理解や国際協調を進め、日本人一人一人が協力する必要があるという意見も報告しました。

外務省南NGO担当大使からのコメント

外務省 南博NGO担当大使からコメントをいただきました
中央の外務省 南博NGO担当大使からコメントをいただきました。左は国際協力局地球規模課題総括課 竹中惠一課長補佐、右は同課 上原麻希外交実務研究員

これを受けて、外務省の南博NGO担当大使から、このような意見がどのように取り入れられるかの説明がありました。不平等の問題や衡平性に取り組むこと、そして脆弱性への配慮に基づいたターゲット設定については、日本政府としても同じ考えを持ち、進めていく方向であると述べられました。また若者から多くの声が挙げられた先進国の責任については、先進国だけでなく、世界中で取り組んでいく必要があると語られました。MDGs作成のプロセスでは、これまで子どもや若者の声は聞かれてこなかったが、とても大切なことであり、今日聞いたことを意見として受け取り、日本での話し合いの中につなげていきたいというコメントがありました。

また、未来を担う高校生が今できることは何かという質問に対して、メッセージをいただきました。具体的には国際理解の学習や働きをこれからも続けていってほしいこと、そして、高校生として勉強すること、特に英語を学ぶ重要性、また歴史を含め、日本のことをよく知る大切さについて語られました。

WVでは、これからもポストMDGsに向けて、子どもや若者の声が聞かれ、あらゆる環境に置かれた最も弱い立場にある子どもたちのニーズを反映した目標が定められるように活動をしていきます。

意見交換の後に、外務省、玉川聖学院、WVからの参加者で集合写真を撮りました
意見交換の後に、外務省、玉川聖学院、WVからの参加者で集合写真を撮りました
意見交換会の様子
意見交換会の様子

※1衡平はその人の立場や状況に合わせた公平さを指す。
※2脆弱性とは政府が人口の大部分、特に貧困層の権利を保護し、これを実現する責任を果たすことのできない、あるいは果たそうとしない状態を指します。必ずしも国境に一致するものではありません。比較的安定した国々が脆弱な地域を取り囲むこともある一方で、脆弱な国の中に安定した地域が存在することもあります。