G7伊勢志摩サミットへ市民の声を ― NGOが「G7市民社会対話」を開催

(2016.3.30)


「G7市民社会対話」とは

3月22~23日に京都で「G7市民社会対話(Civil G7 Dialogue)」が開催されました。日本と海外のNGOから100名以上が集まり、5月の伊勢志摩サミットへ向けた市民社会からの提言をG7各国政府に届けました。

日本が議長国をつとめるG7伊勢志摩サミットが今年5月26日~27日に開かれます。サミットに先立ちG7各国(アメリカ、イタリア、イギリス、カナダ、ドイツ、フランス、日本)および欧州委員会の首脳特別個人代表(シェルパ)が事前協議を重ね、サミット最終日に発表される首脳宣言(コミュニケ)の起草準備を行うのが通例となっています。

NGOが主催する「G7市民社会対話」は、こうしたG7各国政府の事前協議およびサミット本番での首脳たちの議論と首脳宣言の内容に、市民社会の声を反映させることを目的としています。昨年11月に設立された2016年G7サミット市民社会プラットフォームが主催団体となり、世界約25ヵ国から70以上のNGOが京都に集まり活発な議論が交わされました。

「G7市民社会対話」には世界各国から70団体以上のNGOが参加し、議論を通じて親交を深めた。前列右から2人目が柴田スタッフ、前列左端が志澤スタッフ。
「G7市民社会対話」には世界各国から70団体以上のNGOが参加し、議論を通じて親交を深めた。前列右から2人目がWVJ柴田スタッフ、前列左端がWVJ志澤スタッフ

8分野の提言をG7各国政府へ届けました

「G7市民社会対話」の開会セッションでは、G7伊勢志摩サミットのアジェンダ(議題)をNGOの視点から、社会開発、経済、平和・人権、環境の4分野として整理しました。その後参加者は、この4分野を細分化した8つの分科会(保健/栄養と食料女性責任あるサプライチェーン/シリア危機/難民/SDGs実施/気候変動・防災)に分かれ、G7各国政府へ向けた具体的な提言内容について議論しました。
各分科会でまとめられた提言は、国際協力の現場での経験に裏づけられた市民社会からの声として、G7各国政府に伝えられました。
閉会セッションでは、今後も互いに連携して、世界の課題解決に向けたリーダーシップを発揮することをG7諸国に求めていくことについて参加NGO間で確認し合いました。


伊勢志摩サミットは、「持続可能な開発目標(SDGs)」採択後、初めて開催されるG7サミットとして世界の注目を集めています。G7諸国には、「G7市民社会対話」でNGOが整理した8つの分科会に代表される世界の諸課題について、これまでのサミットでなされたコミットメントを着実に実施していくことが今まで以上に求められています。また、私たちNGOもグローバルな市民社会のつながりを活用し、継続的な働きかけを行っていく必要があります。

シリア危機に関する「G7市民社会対話」分科会。立っているのが柴田スタッフ、その右隣は2015年にノーベル賞を受賞したチュニジア人権擁護連盟副代表のアリ・ゼディニ氏。
シリア危機に関する「G7市民社会対話」分科会。立っているのが柴田スタッフ、その右隣は2015年ノーベル平和賞の受賞団体チュニジア人権擁護連盟の副代表アリ・ゼディニ氏

ワールド・ビジョンのG7に向けた取り組みとワールド・ビジョンが目指すこと

ワールド・ビジョン・ジャパンは、2016年G7サミット市民社会プラットフォームの一員として、今回の「G7市民社会対話」の開催運営に積極的に関わりました。

また、Civil G7対話に先駆けて開催された国際開発学会社会連携委員会による国際シンポジウム外部リンクにおいても、「G7サミットのコンテクスト・アジェンダ全体とNGOによるアドボカシー」のタイトルで説明を行い、アカデミアとも積極的に連携しています。

G7サミットへ向けて、ワールド・ビジョンは「保健」「栄養と食料」「シリア危機」「責任あるサプライチェーン」に焦点をあてた政策提言を発表しています。
ワールド・ビジョンは、世界各地で子どもを最優先とした開発援助・緊急人道支援・アドボカシーに取り組むNGOとして、G7伊勢志摩サミットで交わされる合意の中心に、世界のもっとも脆弱な立場にある子どもたちが据えられるよう、引き続き、世界のリーダーたちの明確な意思表示を求めていきます。

平和・人権課題について報告する柴田スタッフ。(2016年3月22日「G7市民社会対話」開会セッション。提供:G7市民社会プラットフォーム)
「G7市民社会対話」開会セッションにて平和・人権課題について報告する柴田スタッフ。(写真提供:G7サミット市民社会プラットフォーム)