2016年度 募金報告(ダイジェスト版)

皆さまの募金で、困難な状況にある人々に寄り添って支援を行うことができました。

ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)は、チャイルド・スポンサーシップ以外にも多くの支援活動を行っています。こちらでは、2016年度に実施した母子保健難民支援水・食糧支援活動についてご報告します。

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支援で受け取ったバウチャーで購入した野菜を調理する南スーダンの母親

2016年度 事業支援分野ごとのダイジェスト

母子保健のための募金

【事業実施国】

エチオピアマラウイ南スーダン、アフガニスタン、ベトナム



【皆さまからの募金で行った主な活動】

  • 安全な妊娠・出産についての知識を人々に啓発
  • 産科棟の建設・拡充、設備の整備
  • 妊娠中の母親を緊急時に搬送できる体制作り
  • 母親のための女性の医療従事者を育成
  • 母親と赤ちゃんをケアするための体制作り
予防接種を受けるエチオピアの赤ちゃん

【支援の成果:保健センターの設備の改善とスタッフ研修を行いました】

妊産婦や乳幼児の死亡率が世界でも最悪の水準にあるエチオピア。2016年は、保健センターに産科棟やトイレ、井戸の建設を開始し、妊産婦・新生児ケアに必須となる薬品や備品を支援しました。

また、保健スタッフ16人に対して、基礎的な緊急産科・新生児ケアに関する研修を行いました。助産師が産前検診や分娩介助の技術を習得し、妊産婦が安心できるサービスを提供できるようになることを目指した結果、研修を受けた助産師は以前よりも適切なケアを行えるようになっています。


保健スタッフへの研修
保健スタッフへの研修の様子

【担当スタッフより】

木戸 梨紗スタッフ(エチオピアでの母子保健事業担当)

近年目覚しい経済成長を遂げるエチオピアですが、村落部では、医療施設は老朽化し、人材も足りず、保健サービスも不十分な状況です。しかし、どんなに貧しいコミュニティの中でも、「困っている人を助けよう。お母さんと赤ちゃんを守ろう」という意識を持つ人がいます。そのような人に会うと、「この国の未来は明るいな」と感じます。引き続き、現地スタッフや関係者とともに日々の活動に取り組みます。
木戸 梨紗スタッフ
木戸スタッフ(写真左)

難民支援のための募金

【事業実施国】

エチオピア、南スーダン、ヨルダン



皆さまからの募金で行った主な活動】

  • 子どもたちが安全に学ぶ環境の整備(校舎の建築・修復、学用品の提供含む)
  • 学校運営、授業の開催(難民の子どもたちのための学校運営、補習授業、教員の採用、クラブ活動、レクリエーション活動開催)
  • 教員の養成・研修
  • 教育を受ける重要性、女子の教育などの啓発活動
  • コミュニティの学校運営への参画促進(PTA活動など)
支援で建設された校舎
支援で建設された校舎

【支援の成果:学び続けることが、子どもたちの希望になっています】

南スーダンでは2013年に内戦が再発し、隣国エチオピアに大量の難民が避難しています。このため、エチオピア西部ガンベラ州にある南スーダン難民キャンプで、子どもたちが安全に、安心して勉強できる環境を整備しました。具体的には、教員資格を持つ人材の採用・研修、風雨に耐えうる校舎の整備、放課後のクラブ活動等を実施しました。

子どもたちの学習意欲は非常に高く、卒業試験の成績は、同州の全小学校の中でも1、2位を争う良い結果でした。多くの子どもたちが、祖国に帰るという希望を持ち、夢に向かって勉強に励んでいます。

また、多くのシリア難民が暮らすヨルダン北部の都市イルビドとザルカでは、児童数の増加に対応するため、公立学校が朝・昼の二部制を導入し授業時間を短縮しています。学習環境の悪化により、多くの子どもたちが勉強についていけない状況です。

このため、勉強についていけないシリア難民の子どもと地元ヨルダン人の子どもを対象に、補習授業を実施。「先生が丁寧に質問に答えてくれる」「勉強が好きになった」という子どもたちの声があり、少人数制でフレンドリーな指導が子どもたちの成績向上につながりました。

また、紛争の経験や厳しい避難生活により、日々子どもたちが抱えている不安やストレスを和らげるため、授業後に図画工作やスポーツ等のレクリエーション活動を行いました。


新しい校舎で学ぶ南スーダン難民の子どもたち
新しい校舎で学ぶ南スーダン難民の子どもたち
レクリエーション活動に参加するシリア難民の子どもたち
レクリエーション活動に参加するシリア難民の子どもたち

【担当スタッフより】

大井 光一スタッフ(エチオピアにおける南スーダン難民支援事業担当)

子どもの就学率を上げるには、コミュニティや男性の行動変容が非常に重要です。女子教育の大切さや教育の必要性をコミュニティに理解してもらうように働きかけることはとても大変でした。しかし、難民キャンプ内で教育の大切さについてキャンペーンをしたり、PTAに働きかけることにより、登録生徒数が飛躍的に増加しました。子どもたちが、知識だけでなく祖国の平和再建に貢献できる社会的スキルや心の強さを養う教育を届けたいと考えています。
大井 光一スタッフ
大井スタッフ(写真中央)

水・食糧支援のための募金

【事業実施国】

ソマリア、スーダン、南スーダン、ルワンダ、アフガニスタン、イラク、東ティモール、ミャンマー


皆さまからの募金で行った主な活動】

  • 穀物、豆、塩、油、毎日必要な食糧を人々に配布
  • 5歳未満の子どもに栄養価の高い特別食を提供し、栄養改善を促す
  • 妊娠中、授乳中の女性に栄養補助食を支給
  • フードフォーワークを通して母親が子どもたちの食糧を継続的に確保する機会を提供
  • 食料や生活必需品の必要に応えるため、現金やバウチャー(金券)を配布
バウチャーで購入した食糧やミルクで、子どもたちの栄養バランスも改善されました
バウチャーで購入した食糧やミルクで、子どもたちの栄養バランスも改善されました

【支援の成果:子どもたちに必要な栄養が届いています】

南スーダンでは、各地で武力衝突が続いている影響で、全人口の約3分の1(360万人)が食糧危機にあります。このため、国連世界食糧計画(WFP)と連携し、特に食糧不足が深刻な首都ジュバの国連施設内に避難している人々を対象に、穀物、米、塩、油等の食糧や、生後5カ月~5歳未満の子どもたちに栄養補助食を届けました。

また、各家庭に必要な食料を地域の小売店で購入できるバウチャー(金券)を配布し、避難している人々が少しでも豊かな食事ができるよう支援しました。バウチャーを受け取ったヴェロニカさんは、「食糧配布によって必要最低限のものを手に入れることができても、ミルクを買うお金がありませんでした。でもバウチャーのおかげでミルクを買い、子どもに飲ませることができました」と話しています。各家庭でより多くの食材を食べられるようになり、子どもたちの栄養状態も改善されました。


受け取ったバウチャーを見せてくれるヴェロニカさん
受け取ったバウチャーを見せてくれるヴェロニカさん

【担当スタッフより】

千田 愛子スタッフ(南スーダン事業担当)

私は、前職を含め2013年から南スーダン支援に関わっています。平和な国づくりへの希望にあふれる同僚や南スーダンの人々の想いを肌で感じてきた私にとって、繰り返される武力衝突には本当に心が痛みます。南スーダンの人々が今必要としている支援を届けようと日々業務に取り組んでいます。
千田 愛子スタッフ
千田スタッフ

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