TAKE BACK FUTURE キャンペーン

Take Back Future キャンペーンについて

Q1)ワールド・ビジョン・ジャパンは、キャンペーンで、具体的に何をするのか?

A1)2018年から4年間続くキャンペーンで、ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)は、教育を通じた難民・移民の子どもたちに対する暴力撤廃を目指します。このために、子どもたちのいる現場と日本国内の双方で、以下の働きかけを行っていきます。

【子どもに対する暴力撤廃に向けて取り組むこと】

  • 難民・移民の子どもに対する暴力への日本社会における関心喚起と行動促進(啓発)

特に若い世代が、同時代を生きる難民・移民の子どもたちに関心を持ち、「できること」を始められるように、イベント開催等の企画を通じて働きかけを行います。

  • 子どもに対する暴力撤廃および難民・避難民の子どもへの教育支援に関する政策変容(アドボカシー

日本の政策において、子どもに対する暴力撤廃と緊急下の教育支援の必要性について関心と優先順位が高まり、必要な資金が現場に届けられるよう、政策提言・政策対話、セミナー開催、国際市民社会などとの連携を進めていきます。

  • 移動により暴力にさらされるリスクから子どもを守り、暴力が繰り返されない未来を築く教育支援の拡充(支援事業)

難民・移民の子どもたちに向けた教育支援の活動を拡充し、より多くの子どもたちが安心して学べる環境を整えつつ、子どもたちが自信や将来への希望を回復できるようにサポートします(具体的な事業内容はQ4 参照)。

Q2)教育により、どのように暴力が撤廃され、暴力を引き起こす根本原因が根絶されるのか?

A2)教育には2つの働きがあります。

1つ目は、いま周囲にある暴力から子どもたちを守るための、「保護」としての働きです。
学校やインフォーマル教育などの学ぶ環境を確保することにより、孤立した状態であれば遭いかねない暴力から身を守ることができます。また、治安や環境が不安定な中でも、学校に通うという規則的な生活と、同年代の子どもたちと遊べる場所が確保されることで、子どもが子どもとして安心して過ごすことができ、日常感覚を回復することができます。これを通じて、子どもたちの心も守ることができます。

2つ目は、将来の展望を開くための、「エンパワーメント」としての働きです。
紛争や貧困などの外的要因にかかわらず「学び続けることができる」ということ、それ自体が子どもたちの自信の回復を助け、未来への希望の種となっていきます。また、暴力から身を守るライフスキル(*1)などのインフォーマル学習(*2)、平和教育(*3)などを取り入れることにより、将来、暴力に巻き込まれたり、暴力の再発を防いでいくことができます(*4)。

*1:WHOの定義では、ライフスキルとは、「人びとが十分な情報に基づき意思決定し、問題を解決し、批判的・創造的に考え、効果的に意思疎通し、健康的な関係を築き、他人と共感し、健康的かつ生産的に自分の人生を管理できるための能力」。
WHO, Skills for Health: Skills-based health education including life skills. 2003pdfアイコン, p. 3

*2:UNESCOの国際教育標準分類において、インフォーマル学習とは、「意図的または自覚的だが、制度化されていない学習であり、個人・家族・社会志向による、家庭や職場、地域コミュニティや日常生活における学び」。
UNESCO, International Standard Classification of Education (ISCED) 2011. Montreal 2012pdfアイコン, p. 12

*3:UNICEFの定義では、平和教育とは、「紛争や暴力を防ぎ、紛争を平和的に解決し、平和を創出するような行動変容を子ども、ユース、そして大人もたらすために必要な知識、技術、態度、価値観を促進するプロセス」。
UNICEF, Peace Education in UNICEF: Working Paper. June 1999pdfアイコン
, p.1

*4:エチオピアでは、最も暴力に遭いやすい年齢の子どもたちが集まることのできる場所・スキルを身につける機会がないと、ギャングなどに勧誘されてしまうとの問題があり、中等教育事業を実施しています。また、ウガンダの教育支援事業では、平和教育クラブに入りたい動機を尋ねたところ、対象の子どもたちから、「悪い勧誘にちゃんとNOと言えるように」、「流されるのではなくやるべきことをやるために」、「指針がないとやっていけない。平和教育クラブに入ることで、正しい方向を示すことができるようになった」との声が聞かれています。


教育により暴力の再発を防いでいる事例:エチオピア事業での南スーダン難民の子どもの声】

「ジョウイ難民キャンプで、WVJの支援により2016年から中等教育が開始され、それまであきらめていた勉強を再開することができました。それ以来、午前はNGOで働き、午後は中等教育校で勉強をする生活を送っています。将来はNGOで働いて、子どもたちに教育の機会を作ってあげたいという思いで勉強を継続しています。
キャンプでの生活は、外に出られない閉そく感の中、祖国への帰還の目途も付かず、希望を見失いがちになります。実際、故郷や祖国の戦闘の悲惨な状況が噂で聞こえてくるたびに、同じ年代の友人の中には、『こんな生活を続けるくらいなら祖国に戻って戦いに行く!』という人もいます。でも、そんな時僕は、『ペンは剣よりも強し」を引用して、『戦っても命が無駄になるだけ。今はここで勉学に励み、祖国を変える人にならなきゃならないんだ』と説得しています」

Q3)キャンペーンの1年目、WVJは何に注力するのか?なぜか?

A3)
難民・移民の子どもたちの中でも、「難民・避難民の子どもたち」に注力し、教育を通じて暴力をなくしていくことを目指します。

世界では、約2億5,000 万人の子どもたち(子ども9人に1人)が武力紛争によって被災した国や地域で生活をしています。多くの人々が命の危険を感じ、出身国や地域からの避難を余儀なくされており、現在、第二次世界大戦以降最多の約6,560万人(2016年末時点)の難民・避難民が移動を余儀なくされています。そのうち約2,800万人は子どもで、長引く危機の中で希望の見えない未来に直面しています(Global Trends 2016, UNHCR)。
また、現在、世界で難民として認定を受けている、学齢期(5―17歳)の子ども約640万人のうち、半数以上の約350万人が様々な理由で教育をあきらめざるを得ず、学校に通っていません(UNHCR2017)。

キャンペーン1年目の具体的な活動としては、以下を予定しています。

  • 啓発:日本国内で特に若い世代を対象としたイベント等を以下の通り実施します。

2018年 国内イベント等実施予定
6月上旬:「世界難民の日」ユース・シンポジウム開催 (共催:アジア福祉教育財団 難民事業本部)
6月中旬:「Take Back Future」キャンペーン特別企画(仮称)スタート
8月上旬:小学生対象「サマースクール2018 難民の子どもたちについて知ろう」(仮称)

同時に、教育支援拡充を実現するため、難民支援募金へのご協力をお願いします。

  • アドボカシー:子どもに対する暴力撤廃や緊急下の教育支援強化を求める政策提言やセミナーを開催予定です。
  • 支援事業:シリア南スーダンの難民の子どもたちへの教育支援に力を入れてきた経験を活かし、活動を継続・強化していきます(詳細はQ4 参照)。


Q4)キャンペーンの関連では、WVJはどこで・どのような支援活動を展開するのか?

A4)
2018年3月現在、WVJは紛争影響下にある以下の国・地域で子どもの教育支援を中心とした事業を実施・予定しています。

  • シリア難民およびヨルダン人の子どもたちへの教育支援事業(ヨルダン イルビド:2014年4月~)

長引く避難生活からシリア難民の子どもたちが抱える慢性的なストレス、異なる国籍の子ども間のいじめや差別、通学路の危険など、子どもに対する暴力発生のリスクが増えており、また、退学の主要な原因ともなっています。この事業では、シリア難民を多く受け入れているヨルダン北部のイルビドの小学校にて、補習授業や子どもが安心して学ぶ環境を整える活動を行い、シリア難民およびホスト・コミュニティの子どもたちが安心して小学校で学習を継続できるよう支援しています。

  • 南スーダン難民の子どもたちへの教育環境整備事業(エチオピア ガンベラ州:2014年8月~)

エチオピアの南スーダン難民キャンプにおいて、紛争の影響による様々なリスクに対する南スーダン難民の子どもたちのレジリエンスを高め、復興を担う人材を育成することを目的に、適切な教育施設の整備、ライフスキルクラブの支援、紛争予防のための受け入れコミュニティにおける平和構築活動、コミュニティの学校運営への参画促進、中等教育校の運営を行っています。

ウガンダ南スーダン難民居住地では、避難する過程において保護者と別れてしまった子どもや里親に養育されている子ども、性やジェンダーに基づく暴力や犯罪等の被害を受けた、またはリスクにさらされている子どもたちが多く暮らしています。この事業では、これらの最も脆弱な立場にある子どもたちを対象に、安全な環境下で継続して学び続けられるよう、学習支援や保護支援を行います。

  • イラク国内避難民の子どもたちへの教育支援事業(イラク モスル、エルビル:2018年5月~)

イラク北部のモスルでは、2013年から始まった紛争の影響により、学校施設の破壊による学習スペースの不足に加え、地雷・爆発物の危険に関する教育や学習期間のブランクがある子どもたちに対する支援の絶対的な不足などの問題が混在しており、早急な対応が求められています。深刻なストレスを抱えた子どもたちに対するサポートの提供に加え、子どもたちが安全に生活でき、教育を継続できる環境を、家庭やコミュニティも巻き込み整備することで、児童労働、武装勢力への参加、虐待等のリスクから子どもたちを守り、健やかな成長を促すことを目指しています。

  • 南スーダン アッパーナイル緊急期の教育支援事業(南スーダン アッパーナイル:2016年3月~)

2013年12月以降の内戦の影響が続くアッパーナイル地域のマラカルおよびファショダの子どもたちの教育へのアクセス改善を目的とし、小学校の整備、教育啓発活動、教員研修、PTA研修等の活動を通じて、紛争の影響下にある子どもたちに教育の機会を提供しています。

上記5つの支援事業に加え、紛争影響下にある国・地域において、「難民とならないようにする」ための予防的な事業も行っています。

  • 南スーダン教育システムにおけるレジリエンス強化事業(南スーダン タンブラ:2015年8月~)

南スーダンの長引く紛争の影響により、子どもたちが教育を受ける機会の減少が著しい南スーダンで、事業地における劣悪な教育環境を回復し、学校を閉鎖させないことで、教育を求めた難民化の予防を目的としています。同時に、紛争の影響から子どもたちを守り、長期的に南スーダンの復興に貢献できる人材として育成することも目的としています。


また、ワールド・ビジョンでは、チャイルド・スポンサーシップ等による長期的な地域開発プログラム(現在、約30カ国で展開)の多くで、子どもたちが暴力に巻き込まれないようにするための教育支援や、子どもたちが強制的かつ危険な移動に追い込まれないよう、貧困などの移動の根本原因をなくすための働きかけをコミュニティとともに行っています。

  • 貧困を改善するため、コミュニティにおける生計向上の支援事業や、脆弱世帯を対象とした職業訓練などの特別支援(全地域)
  • 「子どもに対する暴力撤廃-メコン地域プロジェクト」において、虐待や搾取に対して「NO」と言えるスキルや、安全な出稼ぎの方法を学ぶユース/子どもクラブの活動支援(ミャンマーカンボジアベトナムラオスタイ
  • 子どもに対する暴力や搾取のケースを、対応機関や専門家につなぐシステムの整備(カンボジアなど)
  • 早婚や暴力に対して「NO」と言えるライフスキルの学習や、子どもが安心して親と相談できるようにするための保護者を対象とした子育て・コミュニケーション学習の支援(インドなど)
  • 森林伐採が一因で干ばつが引き起こされ、職を求めて家族ごと移動を続けなくてはならない地域において、土壌の保護や農業支援を通じた干ばつ・貧困対策事業、そして子どもを含めた家族が継続して支援を受けられるようにする支援(エチオピア
  • 地域における暴力や将来への展望の無さが原因で、国内外への移住を強いられる家族や子どもたちが年を追うごとに増加しているコミュニティにおける、子どもや保護者を対象とした、国境地域で直面しやすい危険について学ぶ啓発学習(エルサルバドル
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