カンボジアへ行き、性的搾取の犠牲となったベトナムのベアン
2010.04.14
ワールド・ビジョンの回復センターで暮らすベアン(仮名)は、夢をかなえるためにカンボジアへ行き、性的搾取の犠牲となった多くの子どもたちの1人です。
ベアンの家は貧しく、生活費のために借金を繰り返していました。「貸主が借金を取立てに来ることが、とてもつらく不愉快でした。お金があれば、こんなみじめにはならないと悔しく思いました」とベアンは話します。
ベアンは、カンボジアへ行こうと知人に誘われ、両親には同じ県の友だちの家に遊びに行くと伝えてでかけました。まだ14歳だった彼女は、カンボジアに行くことがいかに危険なことかわからず、どうすれば幸せになれるのだろうとばかり考えて、すでに街で働くことしか頭にありませんでした。当時を振り返って、「カンボジアでは全てが良いものに見えて、なんでも自由にできそうな気がしました」と話します。
「もっとお金が稼げるところで働きたいと言ったら・・・」
カンボジアに来たベアンは、ついに、スバイ・パーク地区にあるコーヒーショップで2カ月間働くことに決めました。この地区は都会の繁華街の一区画で、ベトナム人たちがたくさん働いていることと子どもたちの性的搾取が行われていることで有名でした。
ベアンはそこで稼いだお金を両親に送りましたが、とても十分とは思えず、もっとお金が稼げるところで働きたいと知人に言ったところ、「ゲストハウス」の支配人を紹介されました。そこが売春を行う店だということを彼女は知っていましたが、たくさんの稼ぎがほしかったために契約をしてしまいました。前金として500US$を雇い主から借り受けましたが、2カ月以内に1000US$を返すように言われました。
「ゲストハウス」での仕事はお金にはなりましたが、50%を店への返済、残りの50%は仕送り、食費、衣料費などで消えました。思っていたような自由はもはやありませんでしたが、少しでも多くお金を稼ぐことしか頭に無く、ここでの仕事を抜け出すことなど考えられなくなっていました。
トラウマリハビリテーション・センター(TRC)へ
その後、ベアンは16歳の時に警察に救出され、心身の回復のためにワールド・ビジョンのトラウマ・リハビリテーション・センター(TRC)に送られました。現在、多くのベトナムやカンボジアの少女たちといっしょにTRCで暮らしています。ベアンはTRCで心の平安を得ることができましたが、十分ではありません。「TRCにも、無いものがありました。それは両親の温かさです。両親と会って、もう一度いっしょに暮らしたい」とベアンは語ります。
ベアンは、自由と、家族や自分の幸せのために行動することにあこがれる普通の少女でした。ベアンが自由とチャンスを求めて家を離れたことは、幸せへ続くものではありませんでした。
「両親のもとでたくさんできることがあったのに、私は売春婦にまで落ちぶれてしまいました。家に戻れたら、この悪夢のような体験を友だちに聞かせ、私のようにならないでと強く伝えたい」とベアンは話しています。
ワールド・ビジョン・ジャパンは、カンボジアで性的搾取の被害にあっているベトナムやミャンマーの子どもたちを保護し、心の傷を乗り越えることができるように、TRCの運営をはじめとする活動を行います。また、性的搾取の広がりを食い止めるために、ベトナム政府へ法整備の働きかけを行います。

