7月WVカフェ開催報告

2010.08.03

113名が来場、108名が視聴してくださいました

当日のようす
当日のようす

7月29日(木)、今年7回目となるワールド・ビジョン・カフェを開催。当日は、113名の方々が来場してくださいました。また今回は、初めての試みとしてustreamによる生中継を実施。参加予定だったけれども都合がつかなくなってしまった方や、札幌在住の方など、合計108名が視聴してくださいました。

今回のテーマは、メコン拡大地域(タイ、カンボジア、ベトナム、ミャンマー、ラオス、中国南西部)における人身取引の問題と、ワールド・ビジョンの取り組み。海外事業部開発援助事業課の池内スタッフがご報告しました。

まず始めに池内スタッフは、2008年4月にタイで発生した「ラノーン事件」をご紹介しました。タイへの密入国を試みたミャンマー人121人のうち、トラックのコンテナ(縦6メートル、
横2メートル、高さ2メートル)に乗って移動しているうち酸欠を起こし、54人が窒息死してしまったという事件です。

人身取引は、現在の奴隷制度です

ワールド・ビジョンが運営する、人身取引の被害者を保護するためのシェルター(タイ)
ワールド・ビジョンが運営する、人身取引の被害者を保護するためのシェルター(タイ)

「この事件は、非常に裾野が広い人身取引問題の、氷山の一角と言えます。121人のミャンマー人は、これが不法入国であるということを知らなかったかもしれません。また合法的に出稼ぎに出ようと思っても、ミャンマーでは法的な整備がされておらず、今回の被害者の多くは、自分を証明するIDすら持っていませんでした。しかし、貧困に苦しむ人々の出稼ぎを止めることは、現実的な対応策ではありません」

人身取引は、現代の奴隷制度であると言われています。いま世界では、年間80万人の人々が人身取引の被害にあっていると考えられていますが、その3分の1がアジアで起こっており、被害者の大半が女性と子どもたちです。人身取引の主な原因としては、貧困による危険な出稼ぎ(安全な出稼ぎへのアクセスがない、被害にあった時のホットラインについての情報がない)、法整備の欠如(法律のギャップ、社会的に弱い立場に置かれた人々を守る公的な法律がない)、社会的倫理観の欠如(コミュニティにおける共同意識の崩壊、女性や子どもの立場が低い)が挙げられます。

ワールド・ビジョンが運営するラーニングセンター。出稼ぎ労働者の子どもたちが学んでいます(タイ)
ワールド・ビジョンが運営するラーニングセンター。出稼ぎ労働者の子どもたちが学んでいます(タイ)

ワールド・ビジョンは4つのP(Policy:政策、Prevention:予防、Persecution:訴追、Protection:プロテクション・社会復帰)に重点を置きながら、人身取引の問題に取り組んでいます。
「まず法的な枠組みが整っていなければ、実質的な活動を行うことはできません。法律が整えられて初めて、加害者を処罰し、捜査を行うことができます。そして、救出された被害者をシェルターに保護するなどして、リハビリテーションを受け、故郷へ帰還するための手続きをとる必要があります。また、人身取引についての啓発や、収入向上などの活動を行うことによって、被害を防止していかなければなりません。あわせて、活動する場所が人身取引の送出国、中継国、受入国のいずれに分類されるかを把握し、状況に応じた活動を行うことが重要です」
例えばタイは、メコン拡大地域においては受入国でもあり、日本などの先進国に送られる前の中継国でもあるため、実際に被害にあった人々の保護/帰還のアレンジ、タイや周辺国政府への政策提言(アドボカシー)により重点を置いて、活動を行っています。

子どもたちが、夢を見られるように

ラーニングセンターで学ぶ子どもたち
ラーニングセンターで学ぶ子どもたち

またワールド・ビジョン・ジャパンでは、池内スタッフがカンボジアに駐在し、2010年10月から3年間にわたって、特に人身取引のプロテクションに特化した支援活動を、メコン拡大地域において実施する予定です。

「今回カンボジアに駐在することを決断する前は、非常に迷いました。でもその際、最初に中国のシェルターで出会った男の子たちのことを思い出しました。私はどこの支援地域に行っても、子どもたちに“将来何になりたい?”と質問するのですが、チャイルド・スポンサーシップの支援地域に住む子どもたちは、どんなに貧しくても“先生になりたい”“医者になりたい”と答えてくれます。それは、私自身にとって大きな励まし、慰めでした。しかし、人身取引の被害にあった子どもたちは、皆押し並べて“夢なんてない。とにかく、早くお金が稼げるようになりたい。早く大人になりたい”と答えます。
ワールド・ビジョンの活動の一番の目的である、子どもたちの健やかな成長が守られるように、
子どもたちが少しでも夢を見ることができるように、皆さまのご支援によって、これから
活動していきたいと思っています」池内スタッフは語りました。

アンケートに寄せられた感想の一部をご紹介します

タイの子どもたちと池内スタッフ
タイの子どもたちと池内スタッフ

●私の知らない世界が沢山あることを知れました。そして、世界的に、もっともっと様々なことを伝えていける人間になりたいと改めて思いました
●事実やニュースは調べるとわかることですが、池内さんの体験談などがよりリアルに、実感できる話として勉強になりました
●私自身、小学生の子どもを持つ1人の母親として、「夢はない。とにかくお金が稼ぎたい」と言う子どもの話は、胸がつまる想いでした

参加くださった皆さま、ありがとうございました!
次回のカフェは、8月26日(木)に開催予定です。詳細は決定次第、ホームページ上でお知らせいたします。