ハイチ大地震 第17報

2010.02.10

悲しみに立ち向かうために

聴き取り調査を行うワールド・ビジョンスタッフ
聴き取り調査を行うワールド・ビジョンスタッフ

発生から4週間。ハイチ政府の発表によると死者が23万人に達するなか、ワールド・ビジョンは緊急支援を行っているポルトープランスの3地域で、地震による被災者150人に聴き取り調査を実施しました。その結果、40%以上の人々が地震によって家族を失い、うち14%の人々が複数の家族を失ったと答えました。

チャイルド・プロテクション(子どもの人権保護)専門家であるシアン・プラットスタッフは語ります。
「ハイチは今、国全体が喪に服しているかのようです。人々は家や仕事、持てる財産の全てを失っただけでなく、愛する人を失った悲しみに立ち向かわなければならないのです。

被災した少女
被災した少女

人々が嘆き悲しむ理由はそれぞれですが、ハイチを再建していく上で、家族としての幸福感はとても大切です。子どもたちも大人も、日常生活を取り戻すことができればより早く悲しみが癒される、という研究もあります。安全で安心できる家、いつもの食事、きれいな水、意味のある活動や仕事の全てが、街を再建していくために必要です。

緊急時の支援活動や、国の復興・再建活動に関わる決定が行われる際は、一般の人々の声が反映されなければなりません。人々自身の声と主体性は、人々一人ひとりが回復していく上でも、国家全体が回復していく上でも、極めて重要なのです」

緊急支援のなかでワールド・ビジョンは、このような混沌とした環境にあって、子どもたちが正常な、日常の感覚を取り戻せるよう、ポルトープランスにチャイルド・フレンドリー・スペースを設置しました。

チャイルド・フレンドリー・スペースで笑顔を見せる少女たち
チャイルド・フレンドリー・スペースで笑顔を見せる少女たち

「両親や保護者のいない子どもたちは、特に危険にさらされています。彼らには保護と、悲しみを癒すための機会が必要です。大人と同じように、子どもたちも悲しみを癒す方法はそれぞれ違います。新しい友人をつくり、一緒に遊ぶことは、子どもたちが生活を安定させ、感情を処理していくためにとても効果的な方法です。

悲しいことに、自分の両親が生きているのか、もしくは死んでしまったのか、まだ分からない子どもたちがいます。ワールド・ビジョンはユニセフ(国連児童基金)と協働で子どもたちの家族の行方を捜し、再会できるよう、ハイチ国内の広い範囲で活動していきます」

シンディアちゃん(8歳)は地震によって両親を亡くし、現在は近所の人と一緒に暮らしています。地震発生当日のことを、シンディアちゃんは語ります。
「地震が起きて、私の家はつぶれちゃった。お母さんとお父さんは家の中にいたから、死んじゃったの。毎日泣いてるし、眠れないの。お母さんのことばかり考えてるの」

被災者とともに活動することが不可欠

涙をぬぐうウィルトンさん
涙をぬぐうウィルトンさん

ウィルトンさんも、地震によって夫と家を失いました。涙を流しながら、地震発生当日のことを振り返ります。
「あの日、夫と私は家で料理をしていました。私が家の外に出て来客を迎えたちょうどその時、地震が起こったのです。大きな衝撃の後に振り返って見ると、家は丸ごとつぶれていました。私は“ジョン、ジョン、ジョン、どこにいるの?”と叫びましたが、夫はがれきの下敷きになり、死んでしまったことを悟りました。一瞬一瞬の、夫との歴史が心に蘇ってきました。私は全てを失ってしまいました」

また、高血圧や不眠を訴える被災者もいます。被災しているエルダさん(45歳)もその1人で、「地震は、私たちに深い衝撃を与えました。私たちは、まだ地震の夢を見ます。しばしば心臓の鼓動が早くなりますし、頭痛もします」と語ります。

ワールド・ビジョンは人道支援団体や国際社会に対して、人々が悲しみを癒すための道筋を、より良く再構築していく支援に焦点を置くことを求めます。そのためには、家族とコミュニティのネットワークの再建を支援すると同時に、社会構造を回復し、日常の感覚を取り戻し、地域社会の働きと仕組みを回復するために、被災者である人々とともに活動していくことが必要です。

ワールド・ビジョン・ジャパンでは、1月17日(日)よりポルトープランスで緊急支援とニーズ調査を行っていた坂賢二郎スタッフに代わり、2月6日(土)より加藤奈保美スタッフ(海外事業部緊急人道支援課)を派遣し、緊急支援を行うとともに、「ハイチ大地震緊急援助募金」を受け付けています。


募金のご協力をありがとうございました。募金受付は終了させていただきました。


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