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ハイチ大地震 第14報

2010.02.01

保護者のいない・保護者と離別した子どもたちについて

被災した女の子
被災した女の子

背景  /  ワールド・ビジョンのアプローチ  /  勧告  /  ワールド・ビジョンの働き

背景

現在ハイチには、保護者や養育者と離別した18歳以下の子どもたちが、数万人存在します。そのうち数千人の子どもたちは、2010年1月12日(火)に発生した地震によって離別してしまいましたが、ハイチでは地震発生以前から、50万人以上の子どもたちが家族と離れ、路上や孤児院、または一般の家庭で家事使用人(ハイチクレオール語で“restaveks”)として暮らしていました。

今、ハイチでは、保護者と離別した子どもたちは路上や一時的な避難キャンプで暮らしたり、支援を求めて子どもたちだけで地方へ移動したり、支援物資配布の列に並んだりしています。震災による危機的な状況と極度の貧困に加えて、保護者や家族から離別してしまうことによって、子どもたちは基本的なニーズを満たせないだけでなく、病気や事故、性的虐待、性的搾取、人身売買にあう危険が増します。

避難キャンプで暮らす男の子
避難キャンプで暮らす男の子

30年以上にわたるハイチでの活動経験から、ワールド・ビジョンはハイチの子どもたち、若者、大人たちが持つ回復力と、地震の発生前後から、家族と離別してしまった子どもたちを守り、身体的・精神的ケアを与えるため、人々がコミュニティのなかで努力してきたことを知っています。


ワールド・ビジョンのアプローチ

被災した子どもたちから話を聞くワールド・ビジョンスタッフ
被災した子どもたちから話を聞くワールド・ビジョンスタッフ

2004年に発生したスマトラ沖大地震による津波など、多くの大規模災害の被災者に対する緊急支援を行ってきた経験や専門性から、ワールド・ビジョンは、これらの子どもたちを迅速に保護する必要性を非常に強く認識しています。そのため、ワールド・ビジョンは短期的な緊急支援、その後の中・長期的な支援計画のなかで、子どもたち、特に保護者と離別した子どもたちへの支援を最優先に置いています。

保護者と離別した子どもたちへの支援を行う際、ワールド・ビジョンは「保護者のいない・保護者と離別した子どもに関する機関間の基準原則(Inter agency Guideline Principles on Unaccompanied and Separated Children)」を含む国際的な慣行、ガイドラインに基づいて活動します。そしてこれらのガイドラインに従い、保護者と離別した子どもたちへの支援はコミュニティのなかで促進されること、それに関わる決定は、子どもたちにとって最も大切な一家和合の理念、そして子どもたちが持つ、自分たち自身の意見を表現する権利に基づいた上で行われていることを確認しながら、ワールド・ビジョンは活動します。

多くの被災者が暮らす避難キャンプ
多くの被災者が暮らす避難キャンプ

ハイチにおいて、保護者と離別した子どもたちへの支援効果を最大限にするために、ワールド・ビジョンは外部の専門家と協力・調整し、実績のある方法を用いて活動しています。他の人道支援団体、警備要員、そして政府との協調によって、さらなる子どもたちの離別を防ぎ、すでに親と離別してしまった子どもたちに、より早く支援を届けることができるのです。

ワールド・ビジョンは、過去に発生した多くの自然災害や人災と同様に、ハイチでも人々が持つ回復力と、コミュニティのなかで保護者と離別した子どもたちを守り、ケアしていくための努力についても注目しています。

勧告

避難キャンプで暮らす家族
避難キャンプで暮らす家族

緊急的な状況下において、子どもたち、特に親や家族と離別した子どもたちは最も弱い立場に置かれており、搾取、虐待から守られるために、早急な支援が必要です。

●ワールド・ビジョンはドナー(資金拠出)国・機関に対し、1,600万ドルの人権保護のための国連緊急アピールに応じ、緊急にハイチの子どもたちを保護するための支援金を拠出するように呼びかけます。
1月20日現在、緊急アピールに対して約束された資金はまだありません。


①特にドナー(資金拠出)国・機関が、子どもたちの家族の捜索から再会までのプロセス、家族と離別した子どもたちが一時的な避難場所においても、安全に、里親や親類にケアされるように支援すること、チャイルド・フレンドリー・スペース(以下CFS)の設置を優先していくことを求めます。同様に、どんな避難場所においても、子どもたちを保護するためのトレーニングと、虐待・搾取を通報できるような仕組みを整えていくことが重要です。

避難キャンプで暮らす親子
避難キャンプで暮らす親子

②ハイチ政府、人道支援団体、支援者(募金者)が、家族和合の理念と子どもたちの最善の利益を守るために、保護者と離別した子どもたちに対して、コミュニティに基づいた解決を促進し、資金を提供していくことを求めます。

●ワールド・ビジョンはハイチ政府、人道支援団体、警備要員に対して、子どもたちを性的虐待、搾取、そして人身売買から守るために協働で努力するよう求めます。

①避難キャンプにおいて
虐待と搾取を防ぐために、避難キャンプの状況が国際的なガイドラインに沿ったものであることが、合同で監視・確認されるべきです。避難キャンプが超過密状態であったり、警備が不十分であれば、子どもたちや女性が虐待、搾取にあう危険があります。

②支援活動の従事者、コミュニティの人々に対して、人身売買や子どもの人権保護についての訓練を実施するために
子どもの人身売買、性的搾取、虐待を防ぐために、子どもたちに関わる全ての関係者は、これらの課題に正しく対応してくための訓練をすみやかに受けるべきです。同様に、コミュニティの人々が避難キャンプや他の場所で子どもたちを守り、虐待や搾取が疑われる場合には通報できる仕組みを整えられるよう、人々自身をエンパワーする必要があります。

避難キャンプで暮らす少女
避難キャンプで暮らす少女

③子どもたちの登録制度
子どもたちを人身売買から守るため、全ての関係者は子どもたちの身元確認、記録、登録を優先するべきです。なぜなら、多くの子どもたちが身元を確認できる書類を失い、家族と離別してしまったからです。それ以上に、身元確認と登録を行うプロセスが、虐待、搾取、人身売買を発見する機会となるからです。

④国境と交通拠点での監視
子どもたちの人身売買を阻止するために、国境と交通拠点で活動する全ての関係者は、移動する子どもたちと大人への監視を行うべきです。同様に、保護者からはぐれてしまった子どもたちの身元確認、登録も行わなければなりません。

⑤通報制度
性的虐待、搾取、人身売買を通報し、それに対して応答できる公的な仕組みが、迅速に設立されるべきです。
また、子どもたちに関わる全ての関係者は、その仕組みを子どもたちと大人に知らせ、利用方法を教えるべきです。


ワールド・ビジョンの働き

食糧配布のようす
食糧配布のようす

ワールド・ビジョンは子どもたちへの医療支援、食糧や水の配布などの緊急支援を行いながら、子どもたち(保護者と離別した子どもを含む)を支援し、保護していく上で必要な一連の方策と取組方法を強化しています。

保護者と離別した子どもたちへの支援に対して、関係者と協調し、被災現場のニーズに基づいて、ワールド・ビジョンは現在以下の4分野に重点を置いています。

①離別の予防
子どもたちは、支援物資配布の際の混乱に不遇にも、あるいは養子縁組を通じて、家族と離別してしまう可能性があります。また、家族が子どもたちを保護施設に置いて行ってしまう場合もあります。そのためワールド・ビジョンは、子どもたちの安全が確保された中での緊急支援物資の安全な配布、また、コミュニティに拠点を置いた支援やケア制度の提供が促進されることを確実にしています。また、ワールド・ビジョンが支援した子どもたちをすぐに把握できるように、家族やコミュニティを支援しています。

配布を待つ子どもたち
配布を待つ子どもたち

②保護者と離別した子どもたちを見つけ、家族の行方を捜し、再会できるように支援する
被災現場で活動しているワールド・ビジョンスタッフは全員、保護者と離別した、もしくは孤児となってしまった子どもたちを把握し、できるだけ早く子どもたちが必要としている基本的な支援を届けることができるよう、訓練を受けています。またワールド・ビジョンは、それが子どもたちの最善の利益である場合は、離別した家族の行方を捜し、再び一緒に暮らすことができるよう努力していきます。その際には、安全かつ迅速な再会を進めるために確立された登録フォームやデーターベースを使い、他団体と協力して活動していきます。

被災した子どもたち
被災した子どもたち

③適切なケアの体制を整える

家族の行方を捜している間も、保護者と離別した子どもたちが拡大家族などによって一時的なケアを受けることができるよう、ワールド・ビジョンはパートナーとともに支援します。それが難しい場合は、子どもと同じコミュニティに住む信頼できる家族などに、一時的なケアを依頼します。ワールド・ビジョンは、子どもたちの世話ができる大人から引き離し、施設などに入れてしまうことを支持しません。コミュニティのなかで、家族が子どもの必要を満たすことができるよう支援していくことが、短期的にも長期的にも、子どもにとって最善の利益と考えます。

地域の教会が運営する孤児院
地域の教会が運営する孤児院

現在のハイチの荒廃と、子どもたちが安心して眠れる場所の不足により、コミュニティに拠点をおいたケアを行うことができない場合もあるかもしれません。その場合、ワールド・ビジョンは子どもたちを短期的な緊急センターや、孤児院などの施設で一時的にケアします。その際は、緊急的な状況下においても、国際的なガイドラインに沿って最低限の基準を守っている施設を利用します。

その後ワールド・ビジョンは、子どもたちが長期的な保護者のケアを受けることができるよう、あらゆる努力をします。家族和合と、子どもたちの最善の利益を求める理念に従い、コミュニティに拠点を置いた長期的な解決を目指します。ワールド・ビジョンは、保護者と離別してしまった子どもたちが、孤児院などの施設で長期的にケアを受けていくことを支持しません。その代わり、親戚や里親など、可能な限りコミュニティのなかでケアされていくことを目指します。また年齢の高い子どもたちは、大人の支援のある小さなグループで生活することもできるでしょう。

CFSに集まる子どもたち
CFSに集まる子どもたち

それに加えて国際的な養子縁組は、地域や親戚を通じて、子どもたちが生まれ育ったコミュニティのなかでケアができるよう、あらゆる努力がなされた後の、最後の方法として検討されるべきです。ワールド・ビジョンは、現時点でハイチにおいて行われている全ての新たな養子縁組が、一時的に停止されることを求めます。

④子どもたちが安全に遊び、眠ることができる場所の確保
ワールド・ビジョンは現在、子どもたちに身体的・心理的ケアを提供する場所である、CFSの設置を進めています。CFSは、子どもたちが安心して遊べる場所を提供するだけでなく、震災による悲しみが癒されるよう、支援していく場所です。あわせて食糧、水、医療などの支援も行っていきます。

ワールド・ビジョンは、避難キャンプで暮らす子どもたちの状況を調査し、彼らが十分に保護され、安全が確保された生活を送るためにはどうするべきかを決定します。また、子どもたちが安全に眠ることができる場所を確保できるように、地域の教会、地方政府、他団体などと協力していきます。

ワールド・ビジョン・ジャパンでは坂賢二郎スタッフ(海外事業部緊急人道支援課課長)をポルトープランスに派遣し、緊急支援と被災現場のニーズ調査を行うとともに、「ハイチ大地震緊急援助募金」を受け付けています。

募金のご協力をありがとうございました。募金受付は終了させていただきました。



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