国際シンポジウム「5歳を超えて豊かないのちを」開催報告
2009.11.16
2009年11月6日(金)、世界こどもの日/「子どもの権利条約」20周年記念として、シンポジウム「5歳を超えて豊かないのちを」を開催しました。会場となった国立オリンピック記念青少年総合センター国際会議室には、一般の皆さま、報道関係者、援助関係者など約90名がご参加くださいました。詳しい報告はこちら(PDF)![]()
「子どもの権利条約」採択から20年が経った今でも、子どもの権利の出発点である「生きる権利」が守られず、年間880万人の子どもたちの命が失われています。「子どもたちの命のために、私たちに何ができるか一緒に考える機会にしましょう」という片山事務局長の挨拶とともに、シンポジウムは開会となりました。
基調講演
WVアフリカ地域統括事務所保健・HIV/エイズディレクター メスフィン・ロハ博士による基調講演「アフリカの子どもたちの現状とWVの活動」がありました。5歳になれずに命を落とす世界の子どもたちのおよそ半数がアフリカの子どもたちであることなど、アフリカの子どもたちが直面している厳しい現実が語られました。アフリカで子どもたちが亡くなる背景には、ぜい弱な保健システム、資金不足、慢性的な貧困、紛争、交通の困難さなど構造的な要因があることが挙げられました。最後に「健康な者は希望を持つ。希望を持つ者には人生がある」ということわざを紹介し、力強くスピーチを締めくくりました。
橘高校卒業生による発表
開発教育プログラムの実践等によりワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)と関係の深い神奈川県川崎市立橘高等学校卒業生の亀岡渉さんが、同校国際科在学中にWVJとの取組みを通して学び感じたことを発表しました。現在は大学生になり、アジアの子どもたちの教育支援活動を行っている亀岡さん。「現状を知らなければ何もできない」と、開発教育の必要性を訴え、さらに「現状を知っているだけではなく、その上で何ができるかを現在模索中」と熱い思いを話しました。
パネルディスカッション
政府、国際機関、企業、報道など様々な立場から第一線で取り組まれていらっしゃる皆さまをお招きし、保健分野の途上国支援のために「日本の私たちに何ができるのか」というテーマでパネルディスカッションを行いました。各パネリストによる冒頭スピーチの主なポイントは以下の通りです。
UNICEF東京事務所代表 功刀純子氏
世界第2位の援助国である日本が国際社会と連携しつつ指導的役割を果たすことに期待。経済的援助だけではなく、技術、人材育成、政策提言、子どもの参加など、日本に求められている援助方法は様々ある。
外務省国際協力局専門機関室長 長岡寛介氏
日本政府の保健と開発に関するイニシアティブ、2008年の北海道洞爺湖サミット、第4回アフリカ開発会議(TICADIV)で表明した支援策などを紹介。ODA予算の減少、国際社会での政治的リーダーシップ、日本人職員の活躍の促進などが今後の課題。
住友化学株式会社 ベクターコントロール事業部事業部長 水野達男氏
住友化学によるマラリア予防の防虫蚊帳オリセットネットの事業紹介。開発技術を現地企業へ無償提供し、マラリア蔓延の根絶への貢献だけではなく、現地雇用を創出。生産規模を拡大する中で半数の生産基点をアフリカに移す。蚊帳使用が浸透していないアフリカ地域でのオリセットネットの普及に意欲。
WVJ海外事業部プログラム・オフィサー 木内真理子氏
子どもの健康から健全な社会が生まれる。ルワンダ、スリランカ、タンザニアの事例から、保健サービスの強化が教育、経済の向上につながることを説明。子どもの健やかな成長を地域全体で支えるシステム構築、親への啓発活動など、きめ細やかな、かつ、包括的な支援が必要。
日本経済新聞社編集委員 原田勝広氏
90年代に国連本部を取材して以来の経験から、NGOの外部環境変化を紹介。特に企業のCSRの成熟に焦点をあて、企業とNGOのパートナーシップの事例、社会起業家の登場や貧困層をターゲットとしたBOPビジネスを紹介。一方で、NGOの活動がメディアに取り上げられるにはニュースとしての価値を創出する工夫が必要。
予告:「Child Health Now – アクション!救えるはずの命のために」
最後に、司会者より、世界のワールド・ビジョンが連携して、2009年11月16日(日本時間11月17日)から世界で始める新しい取組み「Child Health Now - アクション!救えるはずの命のために」を予告しました。シンポジウムの発表でも共有されたとおり、様々な分野での力を集結して取組めば、世界で命を落としている5歳未満の子どもたちをもっと多く救うことができます。
ワールド・ビジョンは、今後、ミレニアム開発目標達成の期限である2015年に向けて、保健、栄養、水・衛生など子どもたちの命に直結する活動をさらに拡充していくとともに、パートナーとの連携を強化し、そして、途上国のお母さんや子どもたちの声、そして、子どもたちを救うことを求める市民の声を、世界の政策決定者に届けていきたいと願っています。
※「Child Health Now – アクション!救えるはずの命のために」は、11月17日よりスタートします。
当日アンケートにお寄せいただいた声
たくさんのご意見をありがとうございました。一部をご紹介します。
現状を学ぶことができ、大変勉強になった。
パネルディスカッションでは色々な視点から話を聞くことができ有意義だった。
自分に何ができるのかを考える良いきっかけになった。
日本のODAの低さに驚きました。
市民がもっと声を上げていかなければならないと感じました。
ワールド・ビジョン・ジャパンでは、今後も、途上国の子どもたちの現状について皆さまに知っていただき、何ができるかを考えるきかっけとしていただけるような様々な機会を企画していきます。是非、ふるってご参加ください!

